ネック:マホガニー指 板:エボニー塗 装:ラッカー糸 巻:不明弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.0mm[製作家情報]100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。ラミレス3世を息子に持つホセ・ラミレス2世(1885~1957)は非常に早い時期から父1世の工房で働き始めます。3世によればその当時工房には1世の弟子であるエンリケ・ガルシアやフリアン・ゴメス・ラミレスといった歴史的な名工たちが働いており、製作を学ぶには絶好の環境だったと述懐しています。しかし優れたギタリストでもあった彼はある楽団からの誘いを受けて1904年に南米への演奏旅行に同行しますが、そのままアルゼンチン、ブエノスアイレスの地に居を構え、そこで家庭を持つことになります(ラミレス3世はこの時に生まれています)。1923年に1世が亡くなり、2世はその2年後にマドリッドに戻り父の工房を引き継ぎます。その時工房にはアルフォンソ・ベニート、マヌエル・ロドリゲスらが職人として製作に従事していたほか、のちに20世紀前半の代表的な名工と呼ばれることになるマルセロ・バルベロ1世(1904~1956)も徒弟として働いていました(バルベロ1世は自身が独立する前にまだ若いラミレス3世に製作の手ほどきをしています)。2世のギターは好評でいくつかの受賞歴もあり、スペイン内戦中(1936~1939)は経営的に厳しい局面を経験したもののその後はおおむね順調で、3世の仕事の充実、そして1953年にはパウリーノ・ベルナベが工房に加わることでやがて訪れる豊穣の時代の素地を着実に形成してゆきます。[楽器情報]ホセ・ラミレス2世 1957年作 Usedの入荷です。2世が亡くなる年に製作されたもので、当時工房で辣腕を振るっていた3世やベルナベらの監修もあったことが推測されます。構造的には極めてオーソドックスなスタイルで、表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、サウンドホール回りにやや広めの範囲で貼られた補強プレート、そして左右対称7本の扇状力木という全体構造。レゾナンスはG#~Aに設定されています。やや強めの粘りと反発感を伴いながらきりっとした音が立ち上がってくる発音感はいかにもマドリッド的。木質で生々しい響きながら音像には密度と艶があり、音圧も充分に高い。高音が前景化してくるような音響設計はのちのラミレス3世のフラッグシップモデル1Aをさえ想起させるようなところがあり、その歌心いっぱいの音色はやはり魅力があります。表面板のセンター、指板両脇、ボトム部低音側に複合的な割れの補修履歴があります。内側からパッチ補強はされておらず、接着のみの補修ですがそれぞれ適切な処置がされています。
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ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.0mm
[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。
ラミレス3世を息子に持つホセ・ラミレス2世(1885~1957)は非常に早い時期から父1世の工房で働き始めます。3世によればその当時工房には1世の弟子であるエンリケ・ガルシアやフリアン・ゴメス・ラミレスといった歴史的な名工たちが働いており、製作を学ぶには絶好の環境だったと述懐しています。しかし優れたギタリストでもあった彼はある楽団からの誘いを受けて1904年に南米への演奏旅行に同行しますが、そのままアルゼンチン、ブエノスアイレスの地に居を構え、そこで家庭を持つことになります(ラミレス3世はこの時に生まれています)。1923年に1世が亡くなり、2世はその2年後にマドリッドに戻り父の工房を引き継ぎます。その時工房にはアルフォンソ・ベニート、マヌエル・ロドリゲスらが職人として製作に従事していたほか、のちに20世紀前半の代表的な名工と呼ばれることになるマルセロ・バルベロ1世(1904~1956)も徒弟として働いていました(バルベロ1世は自身が独立する前にまだ若いラミレス3世に製作の手ほどきをしています)。2世のギターは好評でいくつかの受賞歴もあり、スペイン内戦中(1936~1939)は経営的に厳しい局面を経験したもののその後はおおむね順調で、3世の仕事の充実、そして1953年にはパウリーノ・ベルナベが工房に加わることでやがて訪れる豊穣の時代の素地を着実に形成してゆきます。
[楽器情報]
ホセ・ラミレス2世 1957年作 Usedの入荷です。2世が亡くなる年に製作されたもので、当時工房で辣腕を振るっていた3世やベルナベらの監修もあったことが推測されます。
構造的には極めてオーソドックスなスタイルで、表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、サウンドホール回りにやや広めの範囲で貼られた補強プレート、そして左右対称7本の扇状力木という全体構造。レゾナンスはG#~Aに設定されています。
やや強めの粘りと反発感を伴いながらきりっとした音が立ち上がってくる発音感はいかにもマドリッド的。木質で生々しい響きながら音像には密度と艶があり、音圧も充分に高い。高音が前景化してくるような音響設計はのちのラミレス3世のフラッグシップモデル1Aをさえ想起させるようなところがあり、その歌心いっぱいの音色はやはり魅力があります。
表面板のセンター、指板両脇、ボトム部低音側に複合的な割れの補修履歴があります。内側からパッチ補強はされておらず、接着のみの補修ですがそれぞれ適切な処置がされています。