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ドミンゴ・エステソ Domingo Esteso
New Arrival
SOLD OUT
〔商品情報〕
楽器名 | ドミンゴ・エステソ Domingo Esteso |
カテゴリ | 輸入クラシック オールド |
品番/モデル | |
弦 長 | 655mm |
国 | スペイン Spain |
製作年 | 1921年 |
表 板 | 松単板 Spruce |
裏 板 | シープレス Solid Cypress |
程 度※ | 7 |
定 価 | 時価 |
販売価格(税込) | お問い合わせ下さい。 |
付属品 | ハードケース |
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指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ベイカー?
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.3mm
[製作家情報]
ドミンゴ・エステソ Domingo Esteso Lopez (1882~1937)スペイン、クエンカ県のサン・クレメンテに生まれる。1900年にマドリッドに転居し、おそらく同時期にマヌエル・ラミレスの工房に職工として働き始めています(文献によっては1890年代に既にラミレスのもとで働いていたという記述がありますが、転居時期との前後は定かではありません)。この伝説的な工房で彼はサントス・エルナンデス、モデスト・ボレゲーロなどの職人たちと共に製作、1916年にマヌエルが亡くなった後も師の工房にとどまり、サントスと共に「Viuda de Manuel Ramirez」<マヌエル・ラミレスの残された細君による>のラベルで製作を継続(ラベルにはDEの頭文字が記されています)しています。1919年に彼はグラビーナ7番地に自らの工房を設立し、自身のラベルで製作を開始。1926年には甥のファウスティーノが工房スタッフとして加わりさらにその兄弟のマリアーノ、フリオも工房スタッフとして加わります。1937年に亡くなった後、工房はこの3人の甥たちに引き継がれ、のちのコンデ・エルマノスブランドへと発展してゆきます。
ドミンゴ・エステソのギターは例えば同門のサントス・エルナンデスがトーレス/マヌエル・ラミレスのさらなる発展形を模索したような斬新なところは(あくまでも構造的な面では)無く、伝統的なスタイルで一貫していましたが、「音」に関しては戦前のスペインにおいて最高度の達成を成しえたと言えるほどの芸術的な素晴らしさがあります。発音される音の、まさに楽音としてのニュアンスの深さと密度にそれが表れているのですが、それはギターという楽器の最も自然な音響ともいうべきものであり、彼のギターはその純粋性においてこそ評価されるべきものでしょう。しばしば「mellow」と表現される彼の楽器ですが、トーレスが確立した現代のギターにおける音響の可能性を、クラシカルな楽音の必然性の中に着地させた彼の力量と職人としての感性は他の誰もが成しえなかったものであり、それは21世紀の現在においてもあらゆるクラシックギター製作家が参照すべきアクチュアリティをもっています。
[楽器情報]
ドミンゴ・エステソ 1921年製作の表面板が松、横裏板シープレス仕様のクラシックモデル入荷です。ゴルペ板が着脱された痕跡がありますがおそらくクラシックモデルとして製作されたもので、このブランドのエッセンスが感得できる、深い味わいに満ちた一本です。
なによりも音が素晴らしい。タッチと発音との間に何の夾雑物もないような純粋な音響で、全ての音像は洗練され、その表情は繊細かつ多彩であくまでもクラシカルな上品さを備えており、まさに「楽音」と呼ぶにふさわしい。タッチに対するリニアニティの異様とまで言える高さ、シープレス独特の生々しい振動感、それでいて艶やかな響きはエステソならではの至芸でしょう。低音の重厚さから繊細極まりない高音への自然なバランスも完璧で、曲の演奏においてはそのバランスを保ったまま各声部のアイデンティティを明確に弾き分けることができます。クラシカルな表現という点において、マヌエル・ラミレス的哲学の極点の一つを刻んだ製作家の、至高の一本です。
表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと1枚の補強板、左右両側にも1枚ずつの補強板、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に配された2本のクロージングバーという全体の配置。レゾナンスはFの少し上に設定されています。重量は1.18㎏とかなり軽い造りになっています。
表面板の両指板脇、低音側サウンドホール脇からブリッジ近くにかけて、高音側ブリッジ上下に割れ補修理履歴あり。裏板も高音側肩の部分、下部低音側ふくらみ部分に割れ補修履歴があります。ネック、フレット等演奏性にかかわる部分に関しては問題ありません。ネックシェイプはほとんどCに近いラウンド加工のDシェイプ。ヘッドシェイプには陳列のために(恐らく製作当初に)開けられた穴が開いています。表面板は過去にゴルペ板を着脱した形跡がありますが、しっかりと塗装修正が施されておりますので現状で問題はありません。弦高は2.9/3.3mm(1弦/6弦 12フレット)で、サドル余剰は0~1㎜となっています。