〔楽器情報〕 黒澤哲郎製作のモデル Dinastia 2012年製Usedが入荷いたしました。このブランドの最上位機種にあたり、最も影響を受けたであろうラミレス系マドリッド派の構造的コンセプトで作られています。その特徴は内部構造にもっともよくあらわれており、クラシックギターとしては珍しいXブレーシングシステムを採用。サウンドホールの上側(ネック側)は通常のハーモニックバーですが、下側はちょうどホールの真下で2本のハーモニックバーがX状に交差しており、ボディ下部は3本の力木を表面板の木目に沿って等間隔に平行に配置。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ広さの薄いパッチ板が貼られ、3本の力木のうちセンターと高音側の2本はそのプレートの上を通過し、低音側の1本はプレートの上下で分断しています。その3本の力木の先端をボトム部でハの字型に配された2本のクロージングバーが受け止めるように配置。レゾナンスはGの少し上に設定されています。
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー(510シリーズ)
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 3.8mm
〔製作家情報〕
1976年茨城県生まれ。製作家の父黒澤澄雄氏の薫陶を受けると共に、東京都立工芸高等学校後ギター製作に携わり卒業。その後1997年にスペインへ渡り、テサーノス・ペレスの工房へ弟子入した他、アントニオ・マリン工房にて塗装技術を学んで帰国。マヌエル・ラミレスやヴィセンテ・カマチョなど規範としながら、スペインの伝統的なニュアンスを彼なりに消化した堅実な造りで製作を続けており、近年はフラメンコギタリスト沖仁とのコラボモデルも発表。現在はラティス構造によるクラシックモデルも製作するなど、幅広く展開している若手製作家である。
〔楽器情報〕
黒澤哲郎製作のモデル Dinastia 2012年製Usedが入荷いたしました。このブランドの最上位機種にあたり、最も影響を受けたであろうラミレス系マドリッド派の構造的コンセプトで作られています。その特徴は内部構造にもっともよくあらわれており、クラシックギターとしては珍しいXブレーシングシステムを採用。サウンドホールの上側(ネック側)は通常のハーモニックバーですが、下側はちょうどホールの真下で2本のハーモニックバーがX状に交差しており、ボディ下部は3本の力木を表面板の木目に沿って等間隔に平行に配置。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ広さの薄いパッチ板が貼られ、3本の力木のうちセンターと高音側の2本はそのプレートの上を通過し、低音側の1本はプレートの上下で分断しています。その3本の力木の先端をボトム部でハの字型に配された2本のクロージングバーが受け止めるように配置。レゾナンスはGの少し上に設定されています。
これは彼がスペインで製作を師事したマリアーノ・テサーノスやテオドロ・ペレスの影響を如実に受けており、またほぼ同じ配置システムはパウリーノ・ベルナベも自身のフラッグシップモデル等で採用していることなどからも、現在のマドリッド派の特徴的構造の一つとなっています(※現在の哲郎氏の製作するDinastiaモデルは全く趣を異にし、ラティスブレーシング(格子状力木)のモダンなスタイルで作られています)。
そのマドリッド的な作風に傾倒していたいた彼らしく明るく重厚な響きですが、迫力よりもむしろ柔和で優しい音色が特徴です。どこか日本人らしい気質を反映してか、表情はとても落ち着いており、華やかさや色気とは異なる、常に安定した感覚。ゆったりと奥行きを纏ったような軽い粘りをもった発音で、これがこのブランド特有の心地よさを生んでいます。
表面板は細かな弾き傷が全体に若干あります。横裏板は衣服の摩擦等の跡やそれにともなう塗装のムラが少しみられますが全体に外観を損ねるほどではなく、年代相応のレベルといえます。表面板ブリッジ下センター部分に割れの補修履歴がありますが、適切な処置が施されており現状での問題はありません。ネック、フレット、糸巻き等演奏性に関わる部分も問題ありません。ネックシェイプは通常の厚みのDシェイプタイプ、フレットは20フレット仕様。全面セラックニスによるオリジナル仕様となっております。