ネック:マホガニー指 板:黒檀塗 装:表板 ラッカー :横裏板 ラッカー糸 巻:ライシェル弦 高:1弦 3.6mm / 6弦 4.0 mm〔製作家情報〕エドワード B.ジョーンズ Edward B.Jones イギリス オックスフォード州 スティープル・アストン に工房を構える製作家。最初はギタ-製作ではなく、当時同じオックスフォードに工房のあったRobert Goble(1903~1991) にハープシコード、クラヴィコード等の鍵盤楽器製作を6年間学んでいます。その後1973年に、おそらくは同じGoble 工房出身者で当時デビッド・ホセ・ルビオ工房の職人だったポール・フィッシャーの薦めがあったのでしょう、ルビオからのオファーを受け、このイギリス屈指の名ブランドのスタッフとして名を連ねることになります。ここで彼はギターとリュート製作を学び、1979年まで同工房で従事したのちに独立し自身のブランドを立ち上げます。その後もクラシックギターとリュートをメインとしたラインナップで、1980~1990年代に人気を博します。上記のような出自からもうかがえるように、職人としての実直さと工作の精緻さはもとより、西洋音楽のイディオムに即した無駄のない音作り、イギリス人らしい癖のなさなど、他の同工房出身者(上述のフィッシャーやカズオ・サトーなど)がその後モダンなアプローチを展開してゆくのに対し、あくまでトラディショナルなスタンスを維持し続けたのがむしろ特徴的で、潔ささえ感じさせる製作美学の持ち主といえるでしょう。彼の楽器は表面的にはモノトーンともいえる渋い響きですが、そこにクラシカルな繊細さと多様な表情を内包しており、大変に魅力的なものとなっています。〔楽器情報〕エドワード・B.ジョーンズ 1994年製作 クラシックギター 640mmスケール仕様 Usedです。例えば彼の師であるデビッド・ルビオが生涯にわたってジャンルを軽々と横断し続け、ポール・フィッシャーは科学的アプローチを導入し独自の音響を追及し、カズオ・サトーがモダンな潮流を積極的に取り入れた設計を開発してゆくなど、ルビオ工房出身者はとかく進取の気性に富んだ製作家が多いのですが、ジョーンズは独立後もルビオの教えをほぼ忠実に継承し、深い味わいのある楽器を作り続けました。彼の楽器の特徴はいわば、まごうかたなき「英国性」ともいうべき正確かつ柔和な音の所作にあります。落ち着いた、しかし極めて厳密な音の動きの中にしっかりと楽音としてのニュアンスが宿っており、ここぞというところで十全に表出するような、その抑制の美学がなんとも素晴らしい。それは自然にクラシカルな楽曲表現と親和し、抑揚と色彩の変化をともないながらジェントルな佇まいの中に落ち着いてゆきます。すっきりとした雑味の無い響きで、発音の瞬間から整った音像がさっと現れ、その密度を持続するので音楽が弛緩せず、旋律の細かなところまで明晰な身振りがゆき渡る感覚があります。これは例えば最弱音においてもそうで、弱音が「弱さ」に繋がってしまいがちなギターという楽器においては稀有であり、ここでのニュアンスを伴った強度の持続はなんとも心地よく、そして音楽全体に拡がりを生み出すのに寄与しています。実際に音量のダイナミックレンジは現代のギターとしては決して広くはないものの、どの瞬間にも音楽的表情が行き渡るその充実度は、音量依存の表現性を十分に補うものと言えます。表面板の力木構造について、サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とこれらの下端をボトム部で受け止めるようにしてV字型に配置された2本のクロージングバーとなっており、7本の扇状力木のうち高音側3本の間を短くセパレートしたバーが(ちょうどブリッジサドルの延長線上をなぞるように)設置されているという全体の設計。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。高音側にだけ短いバーを設置するこの設計の原型はルビオの1960年代ニューヨーク時代に製作したギターにまでさかのぼることができ、ロベール・ブーシェの有名なトランスヴァースバーを応用したものとされるこの構造を(ルビオの設計ではバーを力木が貫通する組み込みになっている)、エドワードはさらにシンプルに自身の設計に落とし込んでいます。表面板は高音側の指板脇からサウンドホールにかけてやや弾き傷が多くみられます。その他も1~2cmほどの掻き傷や1~2mmほどの打痕などありますが経年相応のレベルといえます。横裏板は演奏時の衣服の摩擦跡等がやはり経年相応に見られますが、全体に外観を著しく損ねるものではありません。割れや改造等の大きな修理履歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~3フレットでほんの僅かに摩耗ありますが問題のないレベル。ネック形状は薄めのDシェイプで角の取れたラウンドに近い形状ですのでコンパクトなグリップ感。弦高値は3.6/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)と高音側で高めな設定になっており張りも強めなので、左手のストレス軽減をご希望のかたは弦高調整をおすすめいたします(サドル余剰は現状で1.5~2.0mmあります)。糸巻はドイツ製高級ブランドのライシェルを装着しており、こちらも機能的に良好です。
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ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:表板 ラッカー
:横裏板 ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 3.6mm / 6弦 4.0 mm
〔製作家情報〕
エドワード B.ジョーンズ Edward B.Jones イギリス オックスフォード州 スティープル・アストン に工房を構える製作家。最初はギタ-製作ではなく、当時同じオックスフォードに工房のあったRobert Goble(1903~1991) にハープシコード、クラヴィコード等の鍵盤楽器製作を6年間学んでいます。その後1973年に、おそらくは同じGoble 工房出身者で当時デビッド・ホセ・ルビオ工房の職人だったポール・フィッシャーの薦めがあったのでしょう、ルビオからのオファーを受け、このイギリス屈指の名ブランドのスタッフとして名を連ねることになります。ここで彼はギターとリュート製作を学び、1979年まで同工房で従事したのちに独立し自身のブランドを立ち上げます。その後もクラシックギターとリュートをメインとしたラインナップで、1980~1990年代に人気を博します。
上記のような出自からもうかがえるように、職人としての実直さと工作の精緻さはもとより、西洋音楽のイディオムに即した無駄のない音作り、イギリス人らしい癖のなさなど、他の同工房出身者(上述のフィッシャーやカズオ・サトーなど)がその後モダンなアプローチを展開してゆくのに対し、あくまでトラディショナルなスタンスを維持し続けたのがむしろ特徴的で、潔ささえ感じさせる製作美学の持ち主といえるでしょう。彼の楽器は表面的にはモノトーンともいえる渋い響きですが、そこにクラシカルな繊細さと多様な表情を内包しており、大変に魅力的なものとなっています。
〔楽器情報〕
エドワード・B.ジョーンズ 1994年製作 クラシックギター 640mmスケール仕様 Usedです。
例えば彼の師であるデビッド・ルビオが生涯にわたってジャンルを軽々と横断し続け、ポール・フィッシャーは科学的アプローチを導入し独自の音響を追及し、カズオ・サトーがモダンな潮流を積極的に取り入れた設計を開発してゆくなど、ルビオ工房出身者はとかく進取の気性に富んだ製作家が多いのですが、ジョーンズは独立後もルビオの教えをほぼ忠実に継承し、深い味わいのある楽器を作り続けました。
彼の楽器の特徴はいわば、まごうかたなき「英国性」ともいうべき正確かつ柔和な音の所作にあります。落ち着いた、しかし極めて厳密な音の動きの中にしっかりと楽音としてのニュアンスが宿っており、ここぞというところで十全に表出するような、その抑制の美学がなんとも素晴らしい。それは自然にクラシカルな楽曲表現と親和し、抑揚と色彩の変化をともないながらジェントルな佇まいの中に落ち着いてゆきます。
すっきりとした雑味の無い響きで、発音の瞬間から整った音像がさっと現れ、その密度を持続するので音楽が弛緩せず、旋律の細かなところまで明晰な身振りがゆき渡る感覚があります。これは例えば最弱音においてもそうで、弱音が「弱さ」に繋がってしまいがちなギターという楽器においては稀有であり、ここでのニュアンスを伴った強度の持続はなんとも心地よく、そして音楽全体に拡がりを生み出すのに寄与しています。実際に音量のダイナミックレンジは現代のギターとしては決して広くはないものの、どの瞬間にも音楽的表情が行き渡るその充実度は、音量依存の表現性を十分に補うものと言えます。
表面板の力木構造について、サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とこれらの下端をボトム部で受け止めるようにしてV字型に配置された2本のクロージングバーとなっており、7本の扇状力木のうち高音側3本の間を短くセパレートしたバーが(ちょうどブリッジサドルの延長線上をなぞるように)設置されているという全体の設計。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。
高音側にだけ短いバーを設置するこの設計の原型はルビオの1960年代ニューヨーク時代に製作したギターにまでさかのぼることができ、ロベール・ブーシェの有名なトランスヴァースバーを応用したものとされるこの構造を(ルビオの設計ではバーを力木が貫通する組み込みになっている)、エドワードはさらにシンプルに自身の設計に落とし込んでいます。
表面板は高音側の指板脇からサウンドホールにかけてやや弾き傷が多くみられます。その他も1~2cmほどの掻き傷や1~2mmほどの打痕などありますが経年相応のレベルといえます。横裏板は演奏時の衣服の摩擦跡等がやはり経年相応に見られますが、全体に外観を著しく損ねるものではありません。割れや改造等の大きな修理履歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~3フレットでほんの僅かに摩耗ありますが問題のないレベル。ネック形状は薄めのDシェイプで角の取れたラウンドに近い形状ですのでコンパクトなグリップ感。弦高値は3.6/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)と高音側で高めな設定になっており張りも強めなので、左手のストレス軽減をご希望のかたは弦高調整をおすすめいたします(サドル余剰は現状で1.5~2.0mmあります)。糸巻はドイツ製高級ブランドのライシェルを装着しており、こちらも機能的に良好です。