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	ポール・シェリダン Paul Sheridan
	
	
	
	
	
		New Arrival
		
		
		
	
	〔商品情報〕
	
	
		| 楽器名 | ポール・シェリダン Paul Sheridan | 
		| カテゴリ | 輸入クラシック 新作 | 
		| 品番/モデル |  No.256 8/25 | 
		| 弦 長 | 640mm | 
		| 国 | オーストラリア Australia | 
		| 製作年 | 2025年 | 
		| 表 板 | 松 Solid Spruce | 
		| 裏 板 | ジャラ Jarrah | 
		| 程 度※ | 10 | 
		| 定 価 | 2,750,000 円 | 
		| 販売価格(税込) | 2,612,500 円 | 
		| 付属品 | ハードケース(ヒスコック・アイボリー) | 
	
	
	
	
	
	 
	 
		下の写真をクリックすると拡大して表示します
		
		
	
	
	
 
 
 
 
 
ネック:タスマニアンオーク
指 板:エボニー
塗 装:表板:オイルフィニッシュ
:横裏板:ラッカー
糸 巻:GOTOH
弦 高:1弦 2.8mm
:6弦 3.9mm
[製作家情報]
ポール・シェリダン Paul Sheridan オーストラリア、パース(Perth)に工房を構える製作家で、グレッグ・スモールマン以降のオーストラリア派では最も重要なブランドの一つです。
1985年より製作を始め、当初は伝統的な工法で造られたギターでしたが、後にスモールマンの影響を受けた格子状力木(Lattice bracing)構造に移行し、さらに自身の音響学的、工学的な独自のアプローチによって極めて機能的かつ幅広い表現力を有したモデルを完成させます。現在多数のギタリストが使用していますが、とりわけ同国オーストラリア出身の気鋭の若手女流として国際的な人気を博しているステファニー・ジョーンズ Stephanie Jones の鮮烈な演奏によって、その個性的な外観(フォトジェニックなステファニー女史との相性の良さも相まって) と音色がギターファンの目と耳に焼き付けられることになります。
[楽器情報]
本作は2025年 シリアルNo.256 新作です。表面板はイングルマンスプルース、横裏板はオーストラリア固有産のジャラ材(Jarrah)を使用、表面板はマットな仕上がりのオイル フィニッシュで木材の質感が際立ち、対照的に独特の赤みと野趣あふれる木目が印象的なジャラ材の横裏板は深く艶を湛えたラッカーで仕上げられています。そのジャラの裏板センターの接ぎ部分と横板ボトム部の接ぎ部分には異なる木材(これもまた特徴的)による大胆なスクエアのインレイが施されており、表面板ロゼッタにも同じ材を使用したスクエアなデザインをあしらうことでグラフィックな統一感を演出しています。指板は表面板から少し浮き上がったようないわゆるレイズドフィンガーボード、裏板はアーチバックとなっておりこのカーブに沿うようにしてネックヒールもわずかに傾斜しているところ(シドニーのオペラハウスを思わせなくもない)は慎ましくも洒落た趣向となっています。さらに奏者の右ひじ部分にはおそらくはこれもジャラ材を使用したであろうアームレストが装着されています。これら全体が優美な曲線とリズミカルな立体感を生み出しておりこの点でもフォトジェニックな外観となっていることが特筆されます。
ボディ内部はグレッグ・スモールマン的な構造原理に則って設計されており、これ自体は現在はドイツのマティアス・ダマンらによって開発されたダブルトップ構造と並びモダンギターの二大潮流とされているものなのですでに広く知られるところとはなっているのですが、しかしながらやはり、ほとんど突然変異的と言ってよいほどの大胆さと新しさで、その緻密な構築性にはいまだ目を瞠らせる、一種異様な迫力があります。
伝統的なクラシックギターでは二次元的な平面構造であったものを三次元的立体構造にまで拡大し、まるで建築のような空間を創出せしめているのですが、まず表面板のくびれ部分から上はサウンドホール上下に各一本の実に強固な(幅2cm×高さ2cm!)ハーモニックバーを設置してしっかりと固定したうえで、さらにこの2本のバー以外のエリアをすべて3mm厚の材(おそらくAsh材)でまんべんなく補強しており、このため表面板のアッパー部分全体は表面板の松材と合わせて5mm以上の厚みとなって十分な強度を確保しています。
そしてくびれ部からボトムにかけての下部エリア全体は表面板木目と同じ向きに等間隔に10本、これと直角に交差してやはり等間隔で8本の力木が設置され、正面から見ると碁盤の目のような構造になっています。これら合計18本の力木は幅5mm、いちばん高い部分でも5㎜弱ほどの、他の構造部分に比較するとかなり繊細な造り(ブリッジのエリアのみカーボン補強がされています)。またこの下部エリア全体の表面板は非常に薄く加工されており、くびれ部より上側のアッパーエリアとは明確に異なり柔軟性が確保されています。
表面板と横板との接続部分に設置されるライニング(1枚の板を横板に沿って湾曲させて接着させたもの)は、これも通常であれば厚さ数ミリ、幅1センチ程度なのですが、ここでは厚さ1cm、幅2.5cmにもなる強固なものが設置されています。また横板にはさらに2×2cmの直方体の柱(ハーモニックバーと同じサイズと形状)が2本、それぞれ上端をくびれ部より少し上の両横板に接着し、下端はエンドブロックにがっちりと組み込まれる形で設置されており、これも正面から見た場合V字型になるような構造をしています。これら2本の柱は上述の2.5cm幅のライニングの上にその両端が乗っかるようにして設置されているため、表面板から2.5cmの中空に浮いているような構造になっています。裏板と横板との接合部もまた上述のようなライニングで接着固定されています。ジャラ材の裏板は合板で特徴的なアーチ加工がされており、十分な厚みで作られているぶん、バーは一本も設置されていません。
強固なバーと柱による立体的な構造と板の十分な厚みによってしっかりと響箱を固定し、ブリッジプレートを中心とする格子状力木が設置されたエリアに柔軟性を集中し振動させる設計はまさしくグレッグ・スモールマンをはじめとするオーストラリア派の特徴を堅実に踏襲しています。ただしシェリダンはここでその最大の特徴ともいうべき格子状力木(Lattice bracing)を表面板を互いに斜めに横切る力木どうしが形成する菱形のグリッドではなく、表面板を縦横垂直に交差して正方形のグリッドを形成する格子状配置として設計しています。上記の通り表面板の駒板周辺以外のエリアは全体に強固な造りのため、重量は2.71kgと通常のギターのほぼ2倍。レゾナンスはA~A#の間に設定されています。
安定性の高いタスマニアンオーク(この材もオーストラリア原産)によるネックはボルトオンでボディに組み込まれています。弦長はこのブランドの標準設定である640mm、薄めのDシェイプのネックは握りやすく、弦高値も初期設定で2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット、サドル余剰は2.0mm)で弦の張りも中庸で左手は押さえやすく、高い演奏性が追求されています。また横板のネックヒール両脇のところに直径1.8cmのサウンドポートが1箇所ずつ設けられており、演奏中の奏者自身へのプロジェクションが確保されています。
ラティス構造のギターらしい、ドラムを叩いたようなパーカッシブな感触の素早い発音と空気感、乾いた木質の音、非常な音圧の高さといったいかにもオーストラリア派らしい特徴を備えつつ、シェリダンのギターが特徴とするのは奏者のタッチに対する十全な反応性であり、そのリニアニティは実に高い。スモールマンをはじめとするラティス構造のギターは音が勝手に、パーカッシブな発音のままに鳴り過ぎてしまうようなところがあり、奏者はそのコントロールに難儀することがあるのですが、シェリダンにおいては機能的にも表現的にも奏者の意のままに反応し、音楽的な充実が得られます。例えば弱音から長く時間をかけて少しずつクレッシェンド持続してゆくこと、これは伝統的スタイルのギターではかなりの技術的な熟練が求められるところですが、シェリダンの本作においては全くストレスなく音楽的な密度を調整しながら表現することができ、この感触は奏者としてなかなか感動的。音もよく歌い、実は表情豊か。そこには機能の充実を志向しながらも適切な抑制を働かせる、シェリダンならではの美学があります。
モダンギターの良品を探している方、またモダンギターに対する表現性の面での不満をぬぐえなかった方にもぜひお試しいただきたい一本。現在3年以上のウェイティングリストを抱えているという人気のブランド、充実の新作です。