ギターショップアウラ ギターカタログサイト

コンデ・エルマノス Conde Hermanos(Felipe)



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名コンデ・エルマノス Conde Hermanos(Felipe)
カテゴリ輸入フラメンコ 中古
品番/モデルA-26(フェリーペ工房)
弦 長650mm
スペイン Spain
製作年2000年
表 板松 Solid Spruce
裏 板シープレス Solid Cypress
程 度※7
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品無し

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.2mm
   :6弦 2.7mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。


〔楽器情報〕
コンデ・エルマノス フェリーぺ工房によるモデルA26 650mm仕様 2000年製Usedの入荷です。このブランドのトレードマークとなっている闘牛をモチーフにしたと言われるMedia Lunaヘッドシェイプ、ステージ映えする濃厚なオレンジで仕上げられた塗装(表面板は一度、オリジナルと同じラッカーによる再塗装が施されています)、独特の硬くそして粘りのある発音と艶やかな音像など、外観と音響の両方でギタリストやファンに与えた印象は深く、ブランドが兄弟別々の独立した工房としてラインナップを展開している現在もそれぞれの形で受け継がれ、踏襲されている定番のモデルです。通常仕様では664mmとなっていますが本作はクラシックスタンダードの650mm仕様でわずかに弦の張りもソフトな感触、演奏時の左手のストレスも一層軽減されています。さらに硬質な響きにはわずかに角の取れた感触があり、鋭くしかし耳に心地よい、同モデルとしても個体性のある1本となっています。

当時の三つの工房(他はグラヴィーナとアトーチャ)の中ではとりわけ生産性の高かったフェリーぺ工房の作。ブランド定番モデルとはいえ、内部構造には実は多様な試みが工房ごと、年代ごとになされており、いくつかは独創的とも言える構造を採用していることからも、このモデルにブランドとしての哲学を注力していることがうかがえます。

本作もやはりフラメンコギターとしては独特な表面板力木構造。くびれより上側はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、ネック脚と上側バーとの間に1枚の補強板を設置。そしてボディ下部は計7本の扇状力木が配置されているのですが、表面板センターに配された1本のすぐ両隣の2本の力木はボトム部のエンドブロックを起点としてボディ上部にやや拡がってゆくように、しかもサウンドホール下側のハーモニックバーを貫通しホール上側のバーのところまで延伸して設置されています。さらにその両外側のそれぞれ2本ずつ計4本の力木はサウンドホール下側ハーモニックバーの横板との接点に近いところから逆にボトム方向に拡がってゆくように設置されており、そしてボトム部にはエンドブロックを起点として2本のクロージングバーがV字型に配置されているという全体の設計。純粋に左右対称の力木配置ですが、7本の力木が通常のネック付け根部分を起点(これはブランドや個体によっても微妙に位置は異なります)とする扇状配置ではなく、それぞれが異なる起点と中心角で設置されているというもので、左右対称の上述のバーを貫通する力木の設計も含めてこのブランド独自の特徴的な構造と言えます。レゾナンスはF#の少し上に設定されています。

表面板は過去に一度ラッカー再塗装が施されています。オリジナルのオレンジ色に合わせて着色してありますので横裏板とのバランス等も問題はありません。指板両脇割れの修理履歴がありますが、接着と補強ともに丁寧な処置がされておりさらに再塗装の効果もあり現在は状態、見た目共に問題ございません。ゴルペ板の縁部分に数センチのスクラッチ跡やその他数か所に細かな弾き傷や打痕等ありますがほとんど目立たないレベル。横裏板は演奏時に胸の当たる個所など衣服等の摩擦によるスクラッチ、その他打痕等ありますが20年以上経過したフラメンコギターとしては綺麗な状態です。ネック裏もほとんど爪キズなどはなくきれいな状態、ただしヘッド裏ちょうど半月型の部分はわずかに木部の欠けや凹み等がみられます。ネックはほんのわずかに順反りの適切な設定になっており、フレットは1~8フレットにやや摩耗ありますが現状で演奏性に問題ございません。ネック形状は薄めでフラットなDシェイプ。弦高値は2.7/2.2mmとなっています。糸巻きはオリジナルのままフステーロ製が装着されており、こちらも現状で機能性に問題ありません。


続きを読む▼


下の写真をクリックすると拡大して表示します