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ジャン・ピエール・マゼ Jean Pierre Maze



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名ジャン・ピエール・マゼ Jean Pierre Maze
カテゴリ輸入クラシック 新作
品番/モデル No.60
弦 長650mm
フランス France
製作年2024年
表 板松 Solid Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※10
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品バムケース

新作手工品をご購入のお客様には、弊社にて弦高調整を1回無料でご利用いただけるサービス(有効期限なし)をお付けしております。
※購入時に装着されている部品(ナット、サドル)本体の調整に限ります。部品新規作成の場合には別途作成費用がかかります。
※ネック反りの調整が必要な場合は別途調整費用がかかります。

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 3.0mm
   :6弦 3.9mm

〔製作家情報〕
Jean Pierre Maze ジャン・ピエール・マゼ 1951年 フランス、ブルターニュのサン=ポル=ド=レオン生まれ。ギターには若いころから演奏と製作の両方で興味を持っていましたが生業とするには至らず、1976年パリで財務省の職に付きます。公務員としての仕事に従事するなかで、1979年当時モンマルトルに住んでいたロベール・ブーシェ(1898~1986)の知遇を得て、ギター製作を学びます。このフランス最大の名工は彼に治具の作り方から製作において必要な美学的な点に至るまで細かな指導をし、これはブーシェが亡くなる1986年まで続くことになります。1983年に最初のギターを製作しますが、ブーシェからはアマチュアにとどまり気ままに製作をすることを勧められ、公務員を続けながら年一本のペースで地道に製作を続けます。ギタリストの故稲垣稔ら日本人との交流も深く、彼の初期の作(No.5)を日本のディーラーが購入し紹介したことで、日本はマゼの名がおそらく世界で最初にブランドとして高く認知されたマーケットになります。

「アマチュア」とは思えない完成度の高さと、その寡作な態度、そして特にブーシェとの長きに渡る交流(師弟関係)ゆえ、唯一の後継者として特に日本では認識されることが多く、彼の楽器は人気を獲得してゆきます。ブーシェが1986年に亡くなった時は未完のままとなっていた師の遺作を彼が仕上げ、ブーシェ未亡人から生前夫が使用していた工具や木材の全てを譲渡されます。その後も公務員の仕事と年一本の製作ペースを続けますが、数年前に定年退職し、現在は製作に専念、年2~3本のギターを世に送り出しており、日本だけでなく世界的な需要と認知の高まりを見せているブランドです。

〔楽器情報〕
ジャン・ピエール・マゼ 製作 2024年製 No.60 新作です。表面板は松、横裏板はインディアンローズウッドの近年の彼の定型となっている仕様(2000年代最初までは横裏板が中南米ローズウッド仕様)。構造的にも音響的にも当然のことながらブーシェの影響を色濃く受けたものですが、彼はその製作哲学を深く柔軟に吸収しながら、あまり主張しすぎることのなく自らの個性と融和させており、それが自然他のブーシェフォロワーにはないカラーを生み出しているところが特筆されます。例えばダニエル・フレドリッシュやドミニク・フィールドといった同じ出自を持つと言える製作家たちがそれぞれ個性的なアプローチにより(フレドリッシュの音響工学の大胆な導入、フィールドのフレタ的強度の参照など)独自のアイデンティティを確立していき、ブーシェ的なものを自らの文脈の中にアクロバティックに変異させていったと言えるのですが、マゼにおいてそれはいかにも親しい友人同士の会話から自然に生まれたかのような親密さとフランス的な洗練があり、なによりもそれが彼の楽器を唯一なものとしています。

表面板の力木構造はブーシェ後期の7本の扇状力木と駒板位置にほぼ横幅いっぱいに設置されたトランスヴァースバーという配置を踏襲したものですが、一番低音側の力木だけがバーを通過せずにそこで止まっており、また7本の力木はそれぞれ高さや幅のサイズが異なるうえ断面形状も半円状や山型になっているなどの独自の工夫が見られます。さらにブーシェとの重要な相違点は扇状力木とトランスヴァースバーとの交差の設計に表れており、ブーシェにおいてはバーと力木とがしっかりと隙間なく組み合わさっていたのに対し、ここでのマゼの設計はバーのちょうど力木の高さと幅ぎりぎりに穿たれた開口部を力木がトンネル状に貫通するシステムとなっています。サウンドホール上側(ネック側)には2本のハーモニックバーと三角型の補強プレート(ちょうど扇状力木7本の設置範囲と相似形をトレースするように)が2本のバーの間とネック脚とバーの間に一枚ずつ貼られています。サウンドホール下側(ブリッジ側)には高音側と低音側とにそれぞれ高さ3mm×長さ4.5cmほどの開口部を設けたハーモニックバーが設置されており、7本の扇状力木のうち横板に近接した各2本の計4本がこの開口部をくぐり抜けてサウンドホール縁まで延伸しています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています(ブーシェはA)。

口唇よりも先に喉の奥の音が出てくるような軽く前のめりな発音がなんともフランスの楽器らしい。軽い粘りを伴いながら自然につながってゆくような音と音の連なり、中低音~低音のふんわりとした響き、色彩を抑えつつも適度なコクと艶を備えた音像の繊細な力強さなどはやはり特別な魅力を放っています。表情もまたほのかに翳を含んだロマンティシズム、気取りのない知的さ、時にチャーミングなところもあり、こうしたある意味複雑な情感を自然に表出してしまうところもこのブランドならではでしょう。また機能面においても両手共に発音のリニアニティが高く、ほとんど指が動くままに音が出てくる感覚があります。

全面セラック塗装仕上げ。ネックはやや薄めのDシェイプ。弦高値は3.0/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~3.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。ブリッジ弦穴はダブルホールになっています(通常の巻き方も可能です)。糸巻はスローン製のleaf 柄プレートタイプを装着。重量は1.69㎏。
本作はマゼ氏ご本人により当店に直接持参された一本で、付属ケースは氏が本器を運ぶのにプライヴェートに使っていたBAMケースが付属しています。


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