ギターショップアウラ ギターカタログサイト

ホセ・ラミレス 3世 Jose Ramirez III



〔商品情報〕
楽器名ホセ・ラミレス 3世 Jose Ramirez III
カテゴリ輸入フラメンコ オールド
品番/モデルフラメンコ MMスタンプ
弦 長656mm
スペイン Spain
製作年1964年
表 板松 Solid Spruce
裏 板シープレス Solid Cypress
程 度※6
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品軽量ケース

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.2mm /6弦 3.2mm

〔製作家情報〕
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。

〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス MMスタンプ 1964年製作Used フラメンコモデルの入荷です。表面板は松、横裏板はシープレス材を使用したいわゆるブランカタイプ。ラミレス3世の工房では当時製作を担当したマスタービルダーのイニシャルをボディ内部のネック脚部分にスタンプしており、本器のMMは ミゲル・マロ Miguel Malo Martinez 製作であることを示しています(1970年代にはイニシャルによるスタンプ制は廃止となり、代わりに番号がスタンプされることになりますが、ミゲル・マロはラミレス4世の「0」に続く「1」を割り当てられています)。

1964年というブランドにとっての最大のエポックメイキングとされる年に製作されており、早くからクラシックモデルの需要を見込んだ生産体制を構成していたラミレス3世としては比較的珍しいと言えるフラメンコモデルです。そしてラミレスのフラメンコモデルがこの後表面板を杉材に(クラシックモデルと同様に)仕様を変更してよりブランドとして独自性を強めてゆくことを考慮するならば、ラミレスの卓越したレベライゼイション能力がオーソドックスなスタイルの中に円満に落とし込まれ、ブランドとしての最高度の充実のなかに結実した貴重な一本ということもできるでしょう。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は左右対称5本がほぼ平行に近い角度で駒板の幅に収るようにして配置されており、ボトム部でこれらの下端を受け止めるように2本の逆ハの字型に配置されたクロージングバー、駒板位置には薄い補強板が貼られているという設計で、スペイン製フラメンコギターとして典型的なスタイルで作られています。レゾナンスはF#~Gの間に設定されています。

明るくそしてコクのある音色、適度な粘りを持った発音とその反応性、音響バランスにおける適切な重心感覚、音量のダイナミズム、旋律におけるフラメンコ的なシャープな身振りの湧出とその上品さ、そして演奏性など、すべてにおいてスパニッシュギター的エッセンスが無理なく備わっており、実に見事。

このジャンルの要求に応えてタフな使用に耐えてきたのでしょう、割れ補修を含むかなりの修理履歴があります。表面板はサウンドホール横高音側くびれ部近くに2か所、センター部分の駒板上部からボトム部に至るまでの長さで一か所、下部ふくらみ部分の高音側と低音側ともに1か所ずつの割れがあります。また裏板は肩やくびれ部、ボトム部などに計7か所の長い割れ、横板は底部分に3か所ほどの割れがあります。これらは内側よりパッチ補強等によって修繕がされており、また過去に最低一回以上ボディの再塗装がされていますので現状で使用には問題ありません。現在はさほどに弾き傷などは多くはなく、横裏板の演奏時に身体のあたる部分に掻き傷や打痕、ネックヒール部分にやや深い打痕、ネック裏からヘッド裏側にかけても細かな傷が見られますが、年代と使用度合いを考慮すると相応な状態と言えます。ネックは真っすぐを維持しており、フレットはわずかに摩耗していますが演奏性には影響のないレベル、ネックシェイプは薄めのDシェイプ、弦高値は3.2/3.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5mm。上述の通りボディ全体はポリウレタンによる再塗装がされていますが、おそらく横裏板と表面板とは異なる時期に別々に処置されたものと思われます(色味と摩耗の度合いが異なります)。糸巻はスペイン製のフステーロを装着。


続きを読む▼


下の写真をクリックすると拡大して表示します