[製作家情報] 井内耕二 Koji Iuchi (1946~)徳島県に工房を構える製作家。ギター演奏を能くしていましたが指の故障により製作に転向したのが1996年、その後国内のギター製作コンクールで優勝し(2010年 現代ギター社主催のコンクール)ブランドとしての地歩を固めてゆきます。繊細な造りが細部まで行き届いた端正な外観と、音響バランスの構成と着地点の適切さ、ギターとしての自然な表情などは国内でも卓越したレベルを有したブランドで、近年ではギタリストの徳永真一郎らの使用により若い愛好家の間でも人気の製作家となっています。
[楽器情報] 井内耕二 2012年製 serial No.27 Used の入荷です。年齢としては間もなく70に近づこうという時期のものですが、50の歳から製作を始めた氏にとっては知と技の面での充実が顕在化しはじめた頃と見て取ることができるでしょう。意匠も含む外観における工作精度的な完成度はかなり早くから達成されていたことが本器からもうかがえますが、ここで注目すべきは内部構造(力木設計)における試みとその音響的特徴と言えます。
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
:横裏板 セラック
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 2.5mm
:6弦 3.5mm
[製作家情報]
井内耕二 Koji Iuchi (1946~)徳島県に工房を構える製作家。ギター演奏を能くしていましたが指の故障により製作に転向したのが1996年、その後国内のギター製作コンクールで優勝し(2010年 現代ギター社主催のコンクール)ブランドとしての地歩を固めてゆきます。繊細な造りが細部まで行き届いた端正な外観と、音響バランスの構成と着地点の適切さ、ギターとしての自然な表情などは国内でも卓越したレベルを有したブランドで、近年ではギタリストの徳永真一郎らの使用により若い愛好家の間でも人気の製作家となっています。
[楽器情報]
井内耕二 2012年製 serial No.27 Used の入荷です。年齢としては間もなく70に近づこうという時期のものですが、50の歳から製作を始めた氏にとっては知と技の面での充実が顕在化しはじめた頃と見て取ることができるでしょう。意匠も含む外観における工作精度的な完成度はかなり早くから達成されていたことが本器からもうかがえますが、ここで注目すべきは内部構造(力木設計)における試みとその音響的特徴と言えます。
表面板力木構造は、サウンドホール上側(ネック側)に2本の高さの異なるハーモニックバーを設置し、この2本の間のエリアをすべて1枚のプレートで補強しています。ハーモニックバー同じくサウンドホール下側(ブリッジ側)にも1本を設置、さらにこのバーの中央よりやや低音寄りの位置から高音側横板に向かって斜めに設置された1本のトレブルバー、サウンドホール周りはこれも1枚の角型のプレートでやや広めの範囲(ロゼッタよりも広い範囲)を補強しており、このプレートの両横側にはそれぞれ1本ずつ計2本の短い力木が近接する横板のカーブの方向に合わせて斜めに設置されています。ボディ下部は左右対称の位置関係で7本の扇状力木が設置されており(厳密には上記トレブルバーの設置により高音側の力木は短くなっています)、これら7本の下端をボトム部で受け止めるように2本のV字型に設置されたクロージングバー、駒板位置には1mmにも満たない極めて薄い補強プレートがほぼ駒板の範囲を覆うように貼られています。そして特徴的なのは、この駒板補強プレートより2cmほどサウンドホール側に寄った位置に1本の短いバーがセンターを含む低音側力木5本の間に設置されており、そのうち3本の力木はこのバーを貫通しています。その貫通の方式はあのフランスの名工ブーシェのトランスヴァースバーを直ちに想起させるもので、力木はバーにしっかりと隙間なく組み込まれるように交差しています。
これらの構造的特徴はやや図式的に解釈すればトーレスとハウザーに例えばアグアドなどのマドリッド的なスペイン要素を加え、さらにフランスのブーシェを応用したと見ることもできるものですが、そうした各特長の融合が単なるパッチワーク的な発想に堕さず、音響においてしっかりとしたバランスが形成されていることは氏の音に対するセンスの卓越を感じさせます。レゾナンスはG#の下に設定されています。
発音はボディの奥から木質の音像がパーカッシヴに弾けてくるような感触で、ボディの容量を活かしたエコー感を伴って鳴ります。高音の強さが際立っており、低音はどっしりと下から支えるというよりも高音と同じ位相において慎ましく適切な強さで鳴っています。これは先述の内部構造的特徴におけるマドリッド的な部分が活かされているものか、ラミレス系統の響きの特徴と重なる部分が多くあります。ただし本器においては、特に音色や表情において、ラミレスの濃厚な色気とは異なり全体に爽やかな明るさがあり、あくまでもそのキャラクターにおいては氏の特徴が前面に出ている一本となっています。
表面板の指板両脇からサウンドホールにかけてのエリア、駒板下からボトムにかけてなどに細かな弾きキズやスクラッチ跡がありますがさほどに深くはなく外観を損ねるほどではありません。横裏板は演奏時に胸の当たる部分などに若干の擦りキズみられますがその他の部分はほとんどキズ無くきれいな状態を維持しています。ネック裏はセンター部分に細かく爪キズはありますが浅く軽微なもので目立たず、また演奏時の感触的にも妨げになるほどではありません。割れなどの大きな修理履歴もなく、概ね良好な状態と言えいます。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分も良好です。ネックはややしっかりとしたグリップ感のDシェイプ、弦高値は2.3/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5mmとなっています。糸巻はドイツ製高級ブランドのライシェル製を装着。