ギターショップアウラ ギターカタログサイト

尾野 薫 Kaoru Ono



New Arrival HOLD
〔商品情報〕
楽器名尾野 薫 Kaoru Ono
カテゴリ国産クラシック オールド
品番/モデルオリジナルモデル No.74
弦 長650mm
日本 Japan
製作年1998年
表 板松 Solid Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※7
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品軽量ケース 黒

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm / 6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
尾野薫 Kaoru Ono(ラベルはCaoru Onoでプリントされています)1953年生まれ。中学生の頃からギターを弾き始め、大学の木材工芸科在学中その知識を活かして趣味でギターを製作。 その類まれな工作技術と音響に対するセンスは注目を集めており、愛好家達の要望に応えて27歳の時にプロ製作家としての本格的な活動を開始。 同時期にアルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)に師事し、彼からスペインギターの伝統的な工法を学びます。 その後渡西しアルベルト・ネジメの師であるグラナダの巨匠アントニオ・マリン・モンテロに製作技法についての指導を受け、 2001年には再びスペインに渡りホセ・ルイス・ロマニリョスの製作マスターコースも受講しています。 さらにはマドリッドの名工アルカンヘル・フェルナンデスが来日の折にも製作上の貴重なアドバイスと激励を受ける等、 現代の名工達の製作哲学に直に接し学びながら、スペイン伝統工法を科学的に考察し理論的に解析研究してゆく独自の方法でギターを製作。 日本でのスペイン伝統工法の受容の歴史において、アルベルト・ネジメと並ぶ重要な製作家の一人として精力的な活動を展開しています。 その楽器はあくまで伝統的な造りを基本としながら、十分な遠達性、バランス、倍音の統制において比類なく、極めて透徹した美しい響きを備えた、 現在国内のギター製作における最高の成果を成し遂げたものとして高い評価を得ています。

尾野薫氏は2024年7月その生涯を終えられました。謹んで哀悼の意を表します。

target='_blank'>オルフェオマガジン「日本の製作家」特集掲載号 オンラインショップ商品ページはこちら

オルフェオ取材同行記 尾野薫編はこちら


[楽器情報]
尾野薫 製作 1998年製 オリジナルモデル No.74 Usedです。尾野氏が2001年にホセ・ルイス・ロマニリョスのスペインでのワークショップに参加する直前の、製作家中期の佳品です。すでにこの時期には後年の氏の楽器に特徴的な、有機的に統一された完璧な音響バランス、倍音の適切な抑制による音像の洗練化、なによりもクラシカルな表情と表現力への志向が如実に現れており、しかもその妥協のない完成度の高さは当時から現在に至る国内ブランドの中ではいまだ際立っていると言えます。

尾野氏のギターはまずそのバランスが素晴らしい。適切な重心感覚をともなった厚みのある低音からきりっとした高音へと一つの線を繋ぐようにして形成される、高低差のしっかりと感じられる響き。一音一音の彫りが深く、雑味がなく、ストイックですが多彩な表情の潜在を感じさせる、その抑制の美学も貴重なもので、ギターにおけるクラシカルな音響というものを追及した氏ならではの達意の着地と言えるでしょう。爪弾きのしなやかさの力学が音化したような発音は生々しさと洗練が同居しており、タッチと同期するようなリニアニティの高さも素晴らしい。楽器が語り過ぎることがなく、表情機能があくまでも奏者のタッチに寄り添い、あるべき音を表出するというのもいかにも尾野氏らしい美学が通底しています。

表面板力木設計はまずサウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバー、ちょうどサウンドホールの直径と幅を合わせた補強プレートがこのバーとネック脚との間を繋ぐようにして貼られ、補強板はサウンドホール周りにもロゼッタと同じエリアをカバーするように貼られています。そしてサウンドホール下側のハーモニックバーは2本がちょうどホール真下の位置でX状に交差して設置されており、その下側は5本の扇状力木を左右対称に配置、ボトム部には2本のクロージングバーが間を広めにとった逆ハの字型にして設置されており、さらに駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに1mmほどの薄い補強板(短辺は駒板と同じ長さ)が貼られているという全体の配置。特徴的なのはやはりX状に交差した2本のハーモニックバーで、それぞれ幅約1cm×高さ1.8cmの角形のバーなのですが、交差点から低音側下方枝だけは高さが1cmでスキャロップド加工となっています。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

X状のバーと扇状力木との組み合わせはスペインのホセ・ラミレス3世またはその系統である現在のマドリッド派の一部に見られる特徴であるものの、またさらに敷衍して言えばあのアメリカのトーマス・ハンフリーが自身の「ミレニアムモデル」初期の構造として開発していたものも想起させるのですが、尾野氏の場合はそうした先達の設計構造への目くばせというよりは上述のような音響バランスへの希求から自然に帰結したようなところがあります(実際にここに聴かれる音響特性はマドリッド派ともハンフリーとも異なるものです)。

全体は出荷時オリジナルのセラック塗装で再塗装の履歴はありません。表面板の下部低音側ふくらみ部分に数センチほどの割れ補修歴がありますが適切な処置がされており、外観と状態の両方で問題ありません。表面板は全体に弾きキズ、搔きキズや打痕等あります。特にサウンドホール周りなどはキズが集中しておりやや目立つ状態です。横板は比較的きれいな状態ですが裏板はネックヒール近くや演奏時に胸の当たる部分、中央部分などに摩擦あとや搔きキズが目立っています。ネック裏はうっすらと塗装の摩耗ありますが爪キズなどは少なく良好な状態です。演奏性に関わる部分は良好で、ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでわずかに摩耗見られるものの演奏には問題ありません。ネック形状は薄めのDシェイプで角の取れた形状に加工されておりコンパクトなグリップ感。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~2.5mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。糸巻はスペインの老舗ブランド Fustero製を装着、こちらも現状で機能的に良好です。全体の重量は1.60㎏。


続きを読む▼


下の写真をクリックすると拡大して表示します