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ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ Sobrinos de Domingo Esteso



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ Sobrinos de Domingo Esteso
カテゴリ輸入フラメンコ オールド
品番/モデル
弦 長648mm
スペイン Spain
製作年1973年
表 板松 Solid Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※6
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品ハードケース 

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ヴァンゲント
弦 高:1弦 2.5mm /6弦 3.5mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。



〔楽器情報〕
コンデ・エルマノス「Sobrinos~」ラベルによる1973年製作のUsed、このブランドとしては珍しく弦長648mmの「ショート」スケール仕様で横裏板はインディアンローズウッドを使用したいわゆるネグラ(黒)モデルとなっており、さらにはボディ厚がネック部分で96mm、ボトム部で104mmと厚めであること、さらには後述する内部構造などそれぞれコンデのフラメンコとしてはイレギュラーな設定から、顧客の求めに応じて製作されたカスタムモデルまたはこの時期コンデが行っていた実験的なモデルの一つかと思われます。

表面板力木構造は、サウンドホール上側(ネック側)は2本のハーモニックバーを設置し、これら2本の間とネック脚との間のスペースをそれぞれ埋め尽くすように薄い補強板がまんべんなく貼られています。ホール下側にも2本のハーモニックバーを設置していますが、このうちブリッジ側のバーは低音側から高音側に向かってやや斜めに下がってゆくようにして設置。ホール両側(低音側と高音側)は縁すれすれのところにそれぞれ1枚ずつの幅2cmほどの補強プレートが貼られ、さらにこのプレートと横板との間に各2本の短い力木がホール上下のバーとの間を繋ぐように設置されています。この短い力木は通常なら近接する横板のカーブをなぞるように設置されるのですが、ここでは扇状力木の延長線上をなぞるようにネック方向を向いて設置されています。表面板のくびれより下は左右対称7本の扇状力木、これらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積の補強プレートが貼られているという設計。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

扇状力木が7本であることとサウンドホール両脇に各2本の短い力木が設置されていることを除くと全体の配置関係はほぼイグナシオ・フレタのギターを濃厚に意識したものになっています。箱の大きさを活かしたたっぷりとしたコクのある音で、粘りや反発感が抑えられた素直な発音ですが、フラメンコとしての十分な機能性は維持されています。

ボディはラッカー塗装で全体に細かなウェザーチェック(塗装ひび割れ)が生じています。木部に割れは確認されていません。表面板は全体に年代相応の弾きキズやスクラッチあり、特にサウンドホール脇部分は塗装の広い範囲での摩耗が見られますが、その上からゴルペ板が貼られています。ネック状態、フレット摩耗度ともに現状で適正値を維持、ただしネックはフラメンコとしてはやや差し込み角が深くなっており、弦高値はそのため2.7/3.9mmと高めの設定(サドルの余剰は0~1.0㎜)、フレットは13フレット以降で設定に甘い部分がありますが現状のままとしています。


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