ネック:セドロ指 板:エボニー塗 装:セラック糸 巻:シャーラー弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.6mm〔製作家情報〕星野良充 Yoshimitsu Hoshino 1942年札幌市生まれ。20才で中出阪蔵に師事しギター製作の道に入り、6年間の修行後、26才から2年間ヨーロッパにてフレタ、アグアド、ハウザー等の有名ギター工房を訪ね研鑽を重ねました。その後28才で東京に工房を開設。以来40年以上に亘って寡作ながら地道な製作活動を続けていましたが、現在は引退し、中古市場のみで入手可能の貴重なブランドとなっています。彼のギターにおける良材のセレクションと隅々まで精緻に作り抜かれた上品な外観、そして工作精度の高さ、また鳴りとバランスにおけるしっかりした音響設計は国内でもトップクラスと言える完成度を有しています。その音色は豊かな表情のポテンシャルを有していながらも、紳士的なストイシズムとでもいうべきものがあり、それがこのブランド独自のテイストを生み出しています。国外のギタリストの評価も高く、イヨラン・セルシェル、アリエル・アッセルボーン他の名手に愛奏されていることでも良く知られています。〔楽器情報〕星野良充 1989年製 GS 杉・中南米ローズウッド 633mmスケール仕様 Usedの入荷です。氏のギターは音響バランスにおけるあるべき着地点が明確に見出されており、それは適切さ以上のものを加えないという彼ならではの抑制の美学によるものなのですが、むしろその抑制ゆえに楽器そのものが内包するポテンシャルを充実させてゆくようなところがあります。本器においても杉材の特性を十全に活かし、ほのかにまろやかさと艶を纏わせた音像が魅力的、しかし響き全体は(杉材がしばしばオーディトリアムな響きを強調するために使用されるのに反し)決して重くならず、各音間、各弦間、低音から高音に至るまでのバランスは実に優れており、ボディも十全に鳴り切っていますがそこにも彼ならではの抑制が働き、全体を上品にまとめあげています。発音は弾性感とアタック感とのちょうど中間のような、これも実に心地よい反応で、音色変化のリニアニティも非常に高いものですがやはりいやらしさがなく、曲がジェントルな仕上がりになります。633mmのショートスケール仕様ですが音量的、音質的なデメリットは一切ありません。ボディサイズやネックのグリップ感なども特に大幅にダウンサイジングしたような感覚はなく、演奏フォーム的には普通の感覚で、左手の演奏だけストレスを軽減したいという方には特におすすめです。表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止める2本のハの字型に配置されたクロージングバー、駒板の位置に同じ面積の補強プレートを貼り付けた設計で、若干の相違はありますがハウザー1世のセゴビアモデルを想起させるものとなっています。レゾナンスはAの少し上に設定されています。おそらく再塗装歴があり、全体はセラック塗装仕上げになっています。表面板は指板脇からサウンドホール周りに至るエリアにかなり弾きキズがあり、その他駒板下には弦交換時のキズ、その他打痕等あります。ただしそれぞれさほどに深いものではないので外観を著しく損ねるほどではありません。横板はボトム部分に数点の搔きキズ、裏板は演奏時に胸の当たる部分に衣服等による擦れがありますがその他はきれいな状態です(ちなみに横裏板の中南米産ローズウッドは、普段このブランドでは漆黒と言えるほどに濃い材をセレクトすることが多いのですが、本器では明るめの爽やかな茶色に個性的な木目が印象的な、野性味のある材をセレクトしています)。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットは1~3Fでやや摩耗見られますが演奏性に影響のないレベルです。ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。弦高値は2.8/3.6mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5~1.5mmとなっています。
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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.6mm
〔製作家情報〕
星野良充 Yoshimitsu Hoshino 1942年札幌市生まれ。20才で中出阪蔵に師事しギター製作の道に入り、6年間の修行後、26才から2年間ヨーロッパにてフレタ、アグアド、ハウザー等の有名ギター工房を訪ね研鑽を重ねました。その後28才で東京に工房を開設。以来40年以上に亘って寡作ながら地道な製作活動を続けていましたが、現在は引退し、中古市場のみで入手可能の貴重なブランドとなっています。
彼のギターにおける良材のセレクションと隅々まで精緻に作り抜かれた上品な外観、そして工作精度の高さ、また鳴りとバランスにおけるしっかりした音響設計は国内でもトップクラスと言える完成度を有しています。その音色は豊かな表情のポテンシャルを有していながらも、紳士的なストイシズムとでもいうべきものがあり、それがこのブランド独自のテイストを生み出しています。国外のギタリストの評価も高く、イヨラン・セルシェル、アリエル・アッセルボーン他の名手に愛奏されていることでも良く知られています。
〔楽器情報〕
星野良充 1989年製 GS 杉・中南米ローズウッド 633mmスケール仕様 Usedの入荷です。
氏のギターは音響バランスにおけるあるべき着地点が明確に見出されており、それは適切さ以上のものを加えないという彼ならではの抑制の美学によるものなのですが、むしろその抑制ゆえに楽器そのものが内包するポテンシャルを充実させてゆくようなところがあります。本器においても杉材の特性を十全に活かし、ほのかにまろやかさと艶を纏わせた音像が魅力的、しかし響き全体は(杉材がしばしばオーディトリアムな響きを強調するために使用されるのに反し)決して重くならず、各音間、各弦間、低音から高音に至るまでのバランスは実に優れており、ボディも十全に鳴り切っていますがそこにも彼ならではの抑制が働き、全体を上品にまとめあげています。発音は弾性感とアタック感とのちょうど中間のような、これも実に心地よい反応で、音色変化のリニアニティも非常に高いものですがやはりいやらしさがなく、曲がジェントルな仕上がりになります。
633mmのショートスケール仕様ですが音量的、音質的なデメリットは一切ありません。ボディサイズやネックのグリップ感なども特に大幅にダウンサイジングしたような感覚はなく、演奏フォーム的には普通の感覚で、左手の演奏だけストレスを軽減したいという方には特におすすめです。
表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止める2本のハの字型に配置されたクロージングバー、駒板の位置に同じ面積の補強プレートを貼り付けた設計で、若干の相違はありますがハウザー1世のセゴビアモデルを想起させるものとなっています。レゾナンスはAの少し上に設定されています。
おそらく再塗装歴があり、全体はセラック塗装仕上げになっています。表面板は指板脇からサウンドホール周りに至るエリアにかなり弾きキズがあり、その他駒板下には弦交換時のキズ、その他打痕等あります。ただしそれぞれさほどに深いものではないので外観を著しく損ねるほどではありません。横板はボトム部分に数点の搔きキズ、裏板は演奏時に胸の当たる部分に衣服等による擦れがありますがその他はきれいな状態です(ちなみに横裏板の中南米産ローズウッドは、普段このブランドでは漆黒と言えるほどに濃い材をセレクトすることが多いのですが、本器では明るめの爽やかな茶色に個性的な木目が印象的な、野性味のある材をセレクトしています)。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットは1~3Fでやや摩耗見られますが演奏性に影響のないレベルです。ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。弦高値は2.8/3.6mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5~1.5mmとなっています。