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アベル・ガルシア・ロペス Abel Garcia Lopez



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名アベル・ガルシア・ロペス Abel Garcia Lopez
カテゴリ輸入クラシック 中古
品番/モデルRI 2
弦 長650mm
メキシコ Mexico
製作年2019年
表 板松 Solid Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※7
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品軽量ケース 黒

ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.5mm / 6弦 3.8mm

[製作家情報]
アベル・ガルシア・ロペス Abel Garcia Lopez メキシコ、ミチョアカン州 パラチョ・デ・ベルドゥスコの生まれ、現在も同地に工房を構える製作家。彼が暮らすパラチョ Paracho は中南米屈指のギターの一大産地として有名な町で、35,000ほどの住人のうち400人の職人がおり、15軒ほどあるファクトリーから年間総計5万本もの楽器を出荷しているという非常な規模のもの。作られるのはほとんどがギターですが他にマンドリンやビウエラ、ギタロンなどメキシコの民族音楽マリアッチで使用される楽器も多くを占めています。もともと工芸が盛んな町でしたが16世紀にスペイン統治が始まると当時の司教の政策で先住民の村ごとに専門的な作業を割り振る分業制を確立、一家相伝で技術を継承してゆく伝統が生まれたといいます。またパラチョは豊富な木材の産出地としても知られ、町を囲む山々から採れる種々多様な良材を使用した楽器はまた郷土性が色濃く表れた独特なもので、ギターファンの間ではイタリアのクレモナやドイツのマルクノイキルヘンにも喩えられる「ギターの町」となっています。

アベル・ガルシアもギター職人の家に生まれ、父親からその手ほどきを受けながら9歳で初めてのギターを製作しています。13歳の時には職人として生きてゆくことを決意しますが大学に進学もして機械工学やコンピューティングを学んでいます。あるアメリカ人顧客からの受注楽器を納品するためにロスアンゼルスを訪れる機会があり、その際にホセ・オリベの工房を訪れたりしていますが、なんといってもギタリストのセレドニオ・ロメロとペペ・ロメロと会い、彼らのギターコレクションを目の当たりにしたことで自身の製作家としてのアイデンティティと進むべき道を確信したといいます(特に印象的だったのは1975年製のハウザー2世、ミゲル・ロドリゲスの ‘La Wonderful’ だそう)。そしてペペの紹介で1992年にはスペインの名工ホセ・ルイス・ロマニリョスのコルドバでの製作講習会に参加、ここで彼はロマニリョス製作のトーレスレプリカを基に課題作を完成させています。講習会には翌1993年にも参加し、さらに1994年にはロマニリョスからの招きでアシスタントとして従事するなど、この稀代の名工の信頼も厚かったことがうかがえます。また彼はセゴビアが使用した有名なマヌエル・ラミレス 1912年モデルを同じくロマニリョス監修で製作するなどさらに伝統的なスパニッシュギターの探求を実地に深めてゆくのですが、同時にロメロファミリーから自身や学生たちのためのギターの製作をコンスタントに依頼されるようになり、個人製作家としての地歩を着実に固めてゆきます。

彼が現在製作するギターは上述のような出自の証左となるもので、まさしくアントニオ・デ・トーレスを基礎に、彼がロメロ邸で目の当たりにしたハウザー、ミゲル・ロドリゲス、サントス・エルナンデスらのエッセンスを音響と設計の両方において絶妙に融合させ、さらに意匠においてはプレ・コロンブス期の伝統的な文様を洗練させて使用するなど自身のアイデンティティも明確に打ち出しながら、自然にそして大胆により高次なレベルへと踏み込んだものとなっています。その感性と造作精度の高さは世界的に見ても最高レベルで、トーレスから続くスペインギターの伝統がメキシコの地で新たなフェイズを提示してしまったことは驚くべきことでしょう。さすがロマニリョスの薫陶を受けただけありギターと製作に関する歴史的知見も非常に深く、講演活動なども注目すべきものですがなんと言ってもトーレスの最高傑作 ’La Cumbre’ の精緻なレプリカモデルは彼の研究成果と技術の精緻を示す実例として白眉の1本となっています。

パラチョではその多くがファクトリーの量産体制による製作を行っていますが、同時に非常に優れた個人製作家も輩出し単独の工房を運営しており、アベル・ガルシアはその筆頭として国際的な評価の高まりをますますみせています。

メキシコ、パラチョのギター文化とアベル・ガルシアを含む同地の製作家についてはOrfeo Magazine No.20 の素晴らしい特集号があり、美しい写真と製作家本人のインタヴューが形成。

[楽器情報]
アベル・ガルシア・ロペス製作 2019年 RI 2、オリジナル設計とデザインによるモデル、貴重なUsedです。トーレスを起点にハウザー、ミゲル・ロドリゲスを通過してロベール・ブーシェへと至る製作史の最先に自らを置き、それらのエッセンスを再解釈、再構成して自身の感性の中に自然に着地させたモデル。伝統的で、しかし同時に絶対的に新しい音響は優れて21世紀的な先鋭と清新さがあり、実に瞠目すべき一本となっています。

その内部構造、表面板の力木配置について。サウンドホール上側(ネック側)に高さの異なる2本のハーモニックバー、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーとこのバーの中央で斜めに交差する(低音側上部横板から高音側下部横板までをつなぐように)もう一本のバー、さらにブリッジ側にもう一本、表面板から中空に浮かぶように設置された橋形バー、扇状力木は5本が設置されており、ボトム部には逆ハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の下端の位置には横幅いっぱいにトランスヴァースバーが設置されており、5本の扇状力木のうち中央の3本がこのバーを貫通し両端の2本はバーの上を通過するようにして交差しています。レゾナンスはGの少し下に設定されています。

特徴的なのは橋形バーとトランスヴァースバーの設置方法そして形状で、まず橋形バーはその両端をライニング(表面板と横板の接合部にまんべんなく接着されている補強材)の上に設置して表面板から1.5センチほど浮いた位置で表面板を横断しており、中央にはちょうど橋脚のように支柱がありその根元は5本の扇状力木のセンターの1本の上で固定されています。この「橋」の下をサウンドホール下で斜めに交差するバーの高音側と、5本の扇状力木のうち低音側の2本の上端が通過しています。そしてトランスヴァースバーは、製作家自身がその影響を認めるようにフランスの名工ブーシェの特徴的な構造を応用したものですが、丁度駒板の長辺の範囲だけ1センチ強の高さでその両脇は1mm前後の低さに加工されており、さらに設置位置は駒板のボトム側の辺に沿うようにして設置されています。ブーシェにおいてはこのバーはおよそ1.5cmほどの高さがあり扇状力木は全てこのバーを貫通するように組み込まれており、さらにその位置はちょうどブリッジサドルに合わせて設置されています。これら平面的な設置関係だけを見るとミゲル・ロドリゲスの「Churchdoor」シリーズの力木配置にブーシェを応用し、さらに橋桁バーを追加したと簡潔にまとめることはできるものの、これらが単にパッチワークによるコラージュ的な統合などではなく、ひとつの完成された音響を構成するための必然として生まれたに相違なく、そのハイブリッドでありながらあまりにも自然な着地は誠に驚くほどの製作センスというべきでしょう。

音も素晴らしい。いかにも中南米的な、湿度を含んだような独特の奥行きとともに全体を優しく支える低音、慎ましく役割を全うするかのような佇まいの中低音、艶やかでジェントルな高音へと至る絶妙のバランス。タッチよりもわずかに前のめりな感覚の素早い発音は心地よいドライブ感を生み出し、音像はその洗練と密度を終止まで維持するので、旋律の身振りがすみずみまで自然に冴えてゆきます。強弱のダイナミズム、音と音との彫りの深さだけでなく、音色の変化だけでも深い遠近感を生み出せるほどの繊細な色彩感があり、また旋律は有機的に繋がり一つの全体を構築してゆくのでこの意味でまさに「小さな管弦楽」を具現化しているとも言えるのですが、特に最弱音での、消え入りそうなほどの瞬間においても弛緩することなく弱音としての「強さ」を維持しながら美しいロマンティシズムが表れてくる、その音楽的な表現力は特筆すべきものがあります。

確かな目による木材の選定と、これもいかにも中南米的な雰囲気を演出する黄(表面板)と赤茶(横裏板)を基調とした外観の佇まい、洒脱なアクセントとしてのロゼッタデザイン(プレ・コロンブス期、つまりパラチョに古くから土着的に伝わる文様がモチーフになっているとのこと、当然のことながらこの細工も実に精緻で美しい)やさりげなく特徴的な杢目の材を使用したインレイ、セラック塗装による上品な仕上げ等々もまたこのブランドの特徴を雄弁に語っています。

とても良好な状態のUsed です。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。塗装は出荷時オリジナルのセラック塗装。表面板はサウンドホール付近にわずかに細かな傷があるのみで、他は通常使用による自然な塗装のムラが見られますが、それぞれほとんど目立たない程度ですので外観はとてもきれいな状態を維持しています。裏板はおそらく支持具を装着したであろう形跡や軽いスクラッチなどが見られますがいずれも浅くほぼ塗装上にとどまっていますので外観を著しく損ねるものではありません。横板、ネック裏も綺麗な状態です。左右横板のボトム部での接合部分はインレイ縁に沿ってわずかに塗装の段差を生じていますがこちらも経年の自然な変化の範囲内にとどまっており、今後の継続使用には問題ありません。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分も良好です。ネック形状はCに近いほどにラウンド感のあるDシェイプで薄めの加工、弦高値は2.5/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0~2.5mmとなっています。ボディ全体の重量は1.67㎏。


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