ネック:セドロ指 板:エボニー塗 装:カシュー糸 巻:ゴトー弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm〔製作家情報〕1944年東京生まれ。1967年上智大学電気電子工学科卒業と同時に、河野ギター製作所に入社し研鑽を積みます。1988年には第4回パリ国際ギター製作コンクールで第1位を獲得しました。その時受賞したモデルと同デザインのものがPC(Paris Competition)モデルとして氏の現在のラインナップの中でも特に人気の一本となっています。河野賢氏が1998年に亡くなった後は工房を引継ぎ、河野ギターを「桜井・河野」ラベルとして継承しながら、同時に自身のブランド桜井正毅としても精力的に現在も製作を続けています。工作精度が高く、良材を使用した美しい外観はこのブランドの特徴ですが、特に日本人の体格や好みにあった抜群の演奏性と安定感は海外でも絶大な人気を博し、師の河野同様に世界的な名声を獲得しています。〔楽器情報〕桜井正毅ブランドのラインアップ中、Maestro-RF、PCに続くミドルエンドモデル「Special」(現在は廃番)の2015年製 F1027A Used 良品が入荷致しました。ふくよかで豊かな鳴り、フィット感の良いネックシェイプ(Dシェイプ)、そして奏者のタッチへの対応範囲が広い発音とそのレスポンスなど、あらゆるギターユーザーにとっての絶妙の着地点となった演奏性のクオリティはこのモデルにも通底しており、ストレスのない弾き心地は初心者にもおすすめです。コーティングされたように光沢感のある音像がハイフレットに至るまで均質な強さで響き、曲を弾くだけで自然に整った音響バランスを形成してくれるような(クラシックギターとしては異例と言えるほどの)オートマティックな表現力、またはデフォルトとしての確固たる音響設計があるので、演奏性だけでなく表現的な面でも奏者のストレスを軽減してくれるようなところもまたこのブランドの特徴と言えるでしょう。表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、このうち下側のバーは高音側と低音側とにそれぞれ1か所ずつ小さな(高さ2mm×長さ2cmほどの)開口部が設けられています。扇状力木は5本、センターに配された1本を境に高音側に3本、低音側は横板に近接したところに(つまりこの一本だけ離れたところに)1本を設置。駒板サドルの位置とその上下(サウンドホール側とエンドブロック側)に各1本で計3本のバーを設置しています。しかしこれら3本のバーは扇状力木よりもサイズの小さい平坦な形状をしており、また3本のうち横幅いっぱいに渡っているのは駒板位置の一本のみで、その上下の2本は低音側横板には接していますが高音側は一番外側の力木のところで止まっています。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。近年の桜井氏の同様の力木配置においては木製の平たい円形ブロックを数か所に設置して音響効果を高める独自の工夫がされていますが、本器は力木とバーのみの構造となっています。割れなどの大きな修理、改造歴はありません。表面板の指板脇や高音側上部膨らみ部分、低音側下部膨らみ部分などに2~5㎜ほどの打痕や浅いスクラッチ痕があります。横裏板は1~2か所の1mm程度の浅い打痕と、ほとんど目立ちませんが衣服等による細かな擦れがあります。ネック裏はほんのわずかなキズのみとなっており全体にキズは総じて軽度なものなので外観を著しく損なうものではありません。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットも適正な状態です。ネックはDシェイプの通常の厚みで程よいグリップ感。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには2.5~3.5mmの余剰がありますのでさらに低く設定することが可能です。ただし弦の張りは中庸ですので現在値のままでもさほどに左手はストレスを感じさせない設定になっています。
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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:カシュー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm
〔製作家情報〕
1944年東京生まれ。1967年上智大学電気電子工学科卒業と同時に、河野ギター製作所に入社し研鑽を積みます。1988年には第4回パリ国際ギター製作コンクールで第1位を獲得しました。その時受賞したモデルと同デザインのものがPC(Paris Competition)モデルとして氏の現在のラインナップの中でも特に人気の一本となっています。
河野賢氏が1998年に亡くなった後は工房を引継ぎ、河野ギターを「桜井・河野」ラベルとして継承しながら、同時に自身のブランド桜井正毅としても精力的に現在も製作を続けています。工作精度が高く、良材を使用した美しい外観はこのブランドの特徴ですが、特に日本人の体格や好みにあった抜群の演奏性と安定感は海外でも絶大な人気を博し、師の河野同様に世界的な名声を獲得しています。
〔楽器情報〕
桜井正毅ブランドのラインアップ中、Maestro-RF、PCに続くミドルエンドモデル「Special」(現在は廃番)の2015年製 F1027A Used 良品が入荷致しました。
ふくよかで豊かな鳴り、フィット感の良いネックシェイプ(Dシェイプ)、そして奏者のタッチへの対応範囲が広い発音とそのレスポンスなど、あらゆるギターユーザーにとっての絶妙の着地点となった演奏性のクオリティはこのモデルにも通底しており、ストレスのない弾き心地は初心者にもおすすめです。コーティングされたように光沢感のある音像がハイフレットに至るまで均質な強さで響き、曲を弾くだけで自然に整った音響バランスを形成してくれるような(クラシックギターとしては異例と言えるほどの)オートマティックな表現力、またはデフォルトとしての確固たる音響設計があるので、演奏性だけでなく表現的な面でも奏者のストレスを軽減してくれるようなところもまたこのブランドの特徴と言えるでしょう。
表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、このうち下側のバーは高音側と低音側とにそれぞれ1か所ずつ小さな(高さ2mm×長さ2cmほどの)開口部が設けられています。扇状力木は5本、センターに配された1本を境に高音側に3本、低音側は横板に近接したところに(つまりこの一本だけ離れたところに)1本を設置。駒板サドルの位置とその上下(サウンドホール側とエンドブロック側)に各1本で計3本のバーを設置しています。しかしこれら3本のバーは扇状力木よりもサイズの小さい平坦な形状をしており、また3本のうち横幅いっぱいに渡っているのは駒板位置の一本のみで、その上下の2本は低音側横板には接していますが高音側は一番外側の力木のところで止まっています。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。近年の桜井氏の同様の力木配置においては木製の平たい円形ブロックを数か所に設置して音響効果を高める独自の工夫がされていますが、本器は力木とバーのみの構造となっています。
割れなどの大きな修理、改造歴はありません。表面板の指板脇や高音側上部膨らみ部分、低音側下部膨らみ部分などに2~5㎜ほどの打痕や浅いスクラッチ痕があります。横裏板は1~2か所の1mm程度の浅い打痕と、ほとんど目立ちませんが衣服等による細かな擦れがあります。ネック裏はほんのわずかなキズのみとなっており全体にキズは総じて軽度なものなので外観を著しく損なうものではありません。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットも適正な状態です。ネックはDシェイプの通常の厚みで程よいグリップ感。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには2.5~3.5mmの余剰がありますのでさらに低く設定することが可能です。ただし弦の張りは中庸ですので現在値のままでもさほどに左手はストレスを感じさせない設定になっています。