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清水 優一 Yuichi Shimizu



New Arrival
〔商品情報〕
楽器名清水 優一 Yuichi Shimizu
カテゴリ国産クラシック 中古
品番/モデルロマニリョスモデル model Romanillos No.29
弦 長645mm
日本 Japan
製作年2025年
表 板松 Solid Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※8
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品ヒスコックケース 黒

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 4.0mm

〔製作家情報〕                               
清水優一 Yuichi Shimizu 1980年東京都府中市生まれ。16歳の時に茶位幸信のギター製作教室に参加し、その後氏が校長を務めるフェルナンデスギター・エンジニアスクールに入学。 在学中に河野ギター製作所の桜井正毅に手紙を書き、これがきっかけとなり2000年に同製作所に入社、製作技法を学ぶと共にギターと音楽についての見識を深めていきました。 2013年の退社後すぐにその探究心の赴くままスペイン各地を廻り、ホセ・ルイス・ロマニリョス、マヌエル・カセレス、アントニオ・マリン・モンテロ、イグナシオ・フレタら名工たちの工房を訪れます。そして帰国後は禰寝孝次郎、尾野薫からのアドバイスや指導を受けながら、満を持して自身のラベルによる製作を開始。様々なジャンルの音楽と文化に対する知的好奇心、そして常に広く柔軟な視野を持ちながら、スペインギターの真髄に迫ろうとするその真摯な姿勢は一貫しており、彼の楽器はもはや端倪すべからざる高みに達していると言えます。現在は年間5本前後のペースで製作。 そのクラシカルで透徹した響きとじっくりと綿密に造り込まれた美しい仕上がりとで、こだわりを持つユーザーから高い評価を得ています。彼が河野ギター製作所時代に製作した作品をレゲエミュージック界の巨匠アール・チナ・スミスが長年愛用していることが国内のギターマガジン誌上で大きく取り上げられ、新たなファン層を拡大していることは記憶に新しい。2020年にはフランスCamino Verde社出版のOrfeo Magazine No.15 にインタビュー記事が掲載され、国内外での評価もさらに高まりを見せている若手の一人です。
オルフェオマガジン「日本の製作家」特集掲載号 オンラインショップ商品ページはこちら
オルフェオ取材同行記 栗山大輔、清水優一、禰寝碧海編はこちら

〔楽器情報〕                                  
清水優一製作 ロマニリョス 特注モデル 2025年製 No.29 Usedです。本作はクライアントによる完全オーダーメイドによる一本、いわゆるビスポークモデルになります。基本となるのは清水氏のモデルラインアップ中でも特に人気の高いホセ・ルイス・ロマニリョスのギターで、ボディ型や内部構造はロマニリョスのオリジナル設計にほぼ準拠した形で製作されています。外観においてはあの有名なモスク柱廊を表したロゼッタや矢羽根文様の象嵌細工、宗教的とも言える雰囲気を纏った尖塔風のヘッドシェイプといったロマニリョスギターの符牒ともなっているようなデザインではなく、清水氏自身のオリジナルデザインによるもので、スペイン的意匠に類するところはありつつも、氏自身の独自の感覚が通底しており、パーソナルな楽器としての存在感を持つに至っています。

表面板力木設計はロマニリョスオリジナルに正確に準拠。サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本で計3本のハーモニックバーを配置。3本すべてのバーの高音側と低音側とに1か所ずつ長さ4センチ高さ3mmほどの開口部が設けられ、これらの開口部を垂直に交わるように(つまり表面板木目と同方向に)通過する形で高音側2本、低音側2本の力木がボディの肩部分からくびれ部分まで伸びるように平行に設置されています。そしてボディ下部(くびれより下の部分)は、左右対称7本の扇状力木に、センターの1本以外の6本の先端をボトム部で受け止めるようにちょうど逆ハの字型に設置された2本のクロージングバー、ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ範囲をカバーするように薄い補強板が貼られているという全体の構造。表面板と横板の接合部には大小のペオネス(三角形型の木製のブロック)を交互にきれいに設置してあります。これらの配置的特徴はホセ・ルイス・ロマニリョス著「Making a Spanish Guitar」の中ではPlan1として掲載されているものと同じもので、トーレス=ハウザー的スタイルをロマニリョスが再構築したものとしてスタンダード化している設計の一つ。難度の高いこの設計を清水氏は忠実になぞるとともに、楽器全体の構造的必然性になかにしっかりと着地させています。レゾナンスはF#の少し上の設定になっています。

Plan1設計を採用したこれまでのモデルでは、清水氏はハウザー/トーレスを通過したロマニリョスによるひとつの極点ともいうべき音響を自身の音質嗜好のなかに自然に着地させ、どこまでも端正な音響を構築していましたが、本作ではトーレス的な親密なまとまりとしての音の在り方を提示しており、ギターにおける最も自然な響きが追及されています。それは例えばサントス・エルナンデスのような室内楽的な彫りの深さを持った響きや、ハウザーのような鍵盤的なバランス感とも異なる、あくまでもギターとして有機的なひとつのかたまりのような響きで、ギターそのものの自然な声のような音響だと言うことができます。しかしながら完全にトーレス的音響に着地させるのではなく、ここでしっかりとロマニリョスのあの震えるように歌う豊かな表情のポテンシャルもしっかりと備わっていることも特筆すべきでしょう。清水氏らしい、木の性質そのもののような、「等身大」という言葉が相応しい一本。

表面板のサウンドホール周りに軽微な傷が数か所あるほかは、衣服等によるわずかな摩擦あとのみの状態です。割れ等の大きな修理履歴はありません。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も適正な状態です。ネック形状はDシェイプで薄めに加工されており、とてもコンパクトなグリップ感。弦高値は 12フレットで1弦2.8mm/6弦4.0mmでサドル余剰は1.5~2.0mmとなっています。お好みに応じてさらに低く設定することも可能ですが、ネックシェイプのコンパクトな感触と、弦の張りが中庸なので現状でも弾き易い印象です。糸巻はイタリアの高級ブランドAlessi 製、Ramirez 1912年スタイルのプレートデザインを装着しています。



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