ネック:セドロ指 板:エボニー塗 装:表板:セラック/横裏板:カシュー糸 巻:フステーロ弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.8mm〔製作家情報〕1932年東京生まれ。ジャパンヴィンテージの筆頭格として河野賢と共に名の挙がる中出阪蔵(1906~1993)の次男。父の教えのもと16歳よりヴァイオリンとギターの製作を開始し、5年後にはギター製作に専心するようになります。1960年には自身の独立した工房を開設し、オリジナルラベルでの製作を開始。その後1968年にはスペインに渡り、マドリッドの製作家エルナンデス・イ・アグアドの工房に入門。この名工からの影響が決定的となり、自身のその後の製作哲学を明確に方向づけられることとなります。外観的な意匠や楽器構造、音色的な特徴においてその影響は如実に表れており、そこに氏独自の個性を注ぎ込んだ楽器はその勇壮な鳴りと豊かな表情とで人気を博します。80歳を越えたあとも邦人製作家の最長老として限定的ながらも製作を続け、スペイン的なニュアンスを濃密に感じさせる国内ブランドの代表格となっていましたが、昨年最後の一本を出荷し引退。近年は父阪蔵氏と並んで海外でも人気の高まっているブランドです。同じギター製作家(現在は引退)の中出輝明氏は兄、中出幸雄氏は弟、また中出六太郎氏は叔父になります。〔楽器情報〕中出敏彦氏製作のハイエンドモデルMaster120 2003年製Usedが入荷致しました。エルナンデス・イ・アグアドのコピーモデルである「AGUADO」モデルと並び、このブランドの最上位機種の一つ。内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、そのうち下側のほうのバーの中央部分から高音側横板に向かって斜めに伸びてゆくトレブルバー、そして6本の扇状力木が表面板センターに配された1本を境として高音側に2本、低音側に3本設置されており、それらの先端をボトム部で受けとめる2本のハの字型クロージングバー、またちょうど駒板の位置には同じ横幅でパッチ板が貼られているという構造で、これはアグアドのギターを踏襲した配置と言えます。レゾナンスはG#の少し上に設定。AGUADOモデルでも言えることですが、スペイン的音色のニュアンスを高い次元において見極めそして達成している、その製作家としての力量はやはり国内製作家の中でも稀有なものであり、ギターという楽器として名品にも比べることの出来る確かなアイデンティティを持つに至っています。同ブランドのエントリーからミドルクラスに位置づけられるMaster35~60などではむしろ豪放でたっぷりとした鳴りを備えていたのに対し、ハイエンドモデルとなる本作では程よい粘りをもった雑味の無い渋い響き。音色はちょうどよい艶やかさと、タッチに十全に反応する表情の変化を備えており、発音とサスティーンなど全てにおいて適切で、奏者の音楽性に寄り添うかのような感覚があります。あくまで慎ましい佇まいの中に深い音楽性を感じさせる音響はさすがに国内最高のブランドの矜持を感じさせる仕上がり。表面板全体に若干の細かな弾き傷、スクラッチ、打痕等があり、横裏板は演奏時の衣服の摩擦等がほんの少しありますが割れなどの大きな修理履歴などはなく、経年考慮すると良好な状態です。ネックは真っすぐを維持しており、フレットの摩耗もありません。糸巻きはスペイン製のフステーロ フレタタイプを装着しており現状で機能性に問題はありません。ネックはやや薄目のフラットなDシェイプ加工。横裏板カシュー、表面板セラックのオリジナル塗装。アグアドを想起させるヘッドプレートとロゼッタの意匠も貫禄があり、外観全体に重厚な気品をたたえています。
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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板:セラック/横裏板:カシュー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.8mm
〔製作家情報〕
1932年東京生まれ。ジャパンヴィンテージの筆頭格として河野賢と共に名の挙がる中出阪蔵(1906~1993)の次男。父の教えのもと16歳よりヴァイオリンとギターの製作を開始し、5年後にはギター製作に専心するようになります。1960年には自身の独立した工房を開設し、オリジナルラベルでの製作を開始。その後1968年にはスペインに渡り、マドリッドの製作家エルナンデス・イ・アグアドの工房に入門。この名工からの影響が決定的となり、自身のその後の製作哲学を明確に方向づけられることとなります。外観的な意匠や楽器構造、音色的な特徴においてその影響は如実に表れており、そこに氏独自の個性を注ぎ込んだ楽器はその勇壮な鳴りと豊かな表情とで人気を博します。
80歳を越えたあとも邦人製作家の最長老として限定的ながらも製作を続け、スペイン的なニュアンスを濃密に感じさせる国内ブランドの代表格となっていましたが、昨年最後の一本を出荷し引退。近年は父阪蔵氏と並んで海外でも人気の高まっているブランドです。同じギター製作家(現在は引退)の中出輝明氏は兄、中出幸雄氏は弟、また中出六太郎氏は叔父になります。
〔楽器情報〕
中出敏彦氏製作のハイエンドモデルMaster120 2003年製Usedが入荷致しました。
エルナンデス・イ・アグアドのコピーモデルである「AGUADO」モデルと並び、このブランドの最上位機種の一つ。内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、そのうち下側のほうのバーの中央部分から高音側横板に向かって斜めに伸びてゆくトレブルバー、そして6本の扇状力木が表面板センターに配された1本を境として高音側に2本、低音側に3本設置されており、それらの先端をボトム部で受けとめる2本のハの字型クロージングバー、またちょうど駒板の位置には同じ横幅でパッチ板が貼られているという構造で、これはアグアドのギターを踏襲した配置と言えます。レゾナンスはG#の少し上に設定。
AGUADOモデルでも言えることですが、スペイン的音色のニュアンスを高い次元において見極めそして達成している、その製作家としての力量はやはり国内製作家の中でも稀有なものであり、ギターという楽器として名品にも比べることの出来る確かなアイデンティティを持つに至っています。同ブランドのエントリーからミドルクラスに位置づけられるMaster35~60などではむしろ豪放でたっぷりとした鳴りを備えていたのに対し、ハイエンドモデルとなる本作では程よい粘りをもった雑味の無い渋い響き。音色はちょうどよい艶やかさと、タッチに十全に反応する表情の変化を備えており、発音とサスティーンなど全てにおいて適切で、奏者の音楽性に寄り添うかのような感覚があります。あくまで慎ましい佇まいの中に深い音楽性を感じさせる音響はさすがに国内最高のブランドの矜持を感じさせる仕上がり。
表面板全体に若干の細かな弾き傷、スクラッチ、打痕等があり、横裏板は演奏時の衣服の摩擦等がほんの少しありますが割れなどの大きな修理履歴などはなく、経年考慮すると良好な状態です。ネックは真っすぐを維持しており、フレットの摩耗もありません。糸巻きはスペイン製のフステーロ フレタタイプを装着しており現状で機能性に問題はありません。ネックはやや薄目のフラットなDシェイプ加工。横裏板カシュー、表面板セラックのオリジナル塗装。アグアドを想起させるヘッドプレートとロゼッタの意匠も貫禄があり、外観全体に重厚な気品をたたえています。