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田邊 雅啓 Masahiro Tanabe
New Arrival
SOLD OUT
〔商品情報〕
楽器名 | 田邊 雅啓 Masahiro Tanabe |
カテゴリ | 国産クラシック 新作 |
品番/モデル | 90号 ロマニリョスモデル No.275 |
弦 長 | 650mm |
国 | 日本 Japan |
製作年 | 2023年 |
表 板 | 松単板 Spruce |
裏 板 | ローズウッド単板 Indian Rosewood |
程 度※ | 10 |
定 価 | 990,000 円 |
販売価格(税込) | 940,500 円 |
付属品 | ケース別売 |
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指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 4.0mm
〔製作家情報〕
1974年群馬県生まれ。幼少の頃より音楽と工作に深い興味を持ち続け、20歳の時にクラシックギターの製作を志します。 法政大学卒業と同時に石井栄に師事して製作技法を学び、同工房にて自作品として140本近くを製作。その後2001年に渡欧して各地の弦楽器工房を訪問すると共に、ホセ・ルイス・ロマニリョスのマスタークラスに参加し、スペインギターの伝統的な製作方法に触れたことで自らの方向性を確信します。帰国後に栃木県足利市に独立して工房を構えますが、マスタークラスで出会った尾野薫にアドバイスを受けながらさらなる製作研究に一年をかけて、2002年にその後の彼のメインモデルの一つとなるロマニリョスモデルを発表します。2004年に再度渡西した折には、同地の名工達の工房を訪ね更に見識を深め、特にマドリッドの不世出の名工アルカンヘル・フェルナンデスからは助言と共にその製作姿勢に多大な影響を受けています。
師の教えを実直に守りひたすらに良い音を求めるその製作態度を貫き、年間わずか5~7本前後と製作本数が限られるため、現在新作が最も待ち望まれる製作家の一人。 どんな細部も揺るがせにしない緻密で繊細な手と、持って生まれたしなやかな感性で製作された彼の楽器は、伝統に深く立脚しながらも新たな音響のニュアンスを感じさせるギターとして現在国内外で高く評価されるに至っています。2018年にはNHKの人気番組で工房での製作風景が放映された他、新聞や海外のギター専門誌からの取材オファーを受けるなどメディアからも注目されており、2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。
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オルフェオ取材同行記 田邊雅啓編はこちら
〔楽器情報〕
田邊雅啓 90号 ロマニリョスモデル 2023年新作 No.275 の入荷です。
ラベルにはHomenaje a J.L.Romanillos と直筆で書かれており、昨年2022年に惜しまれつつ世を去った20世紀後半最大の巨匠ホセ・ルイス・ロマニリョスへのオマージュとして製作された一本。
内部設計、ボディシェイプなどの基本デザインはオリジナルに準拠し、ロゼッタをはじめとする象嵌意匠は田邊氏自身のデザインによるもの。その中で一点、駒板の弦巻き付け部分にはロマニリョス本人から田邊氏が譲り受けた矢柄を思わせるデザインのインレイがあしらわれており、ささやかながらマエストロへの感謝の念が刻印されています。このインレイを嵌め込んだ中南米ローズ駒板の上品な杢目とそのグラデーション、これに呼応するかのようなロゼッタ(和柄の指物細工を想起させる洒脱なデザイン)、柔らかい線で落ち着いた形状のヘッドに至るまでの色、形、意匠のさりげない統一感には製作家の繊細な配慮があり、その姿は優しくそして凛とした佇まい。
しっかりとした音圧の、明るく上品な響き。各音は洗練の極みといえるほどにクリアで、濃密で、艶をたっぷり湛え、どの音も(0から19Fに至るまで)形の整った音像。粘りを持った発音は、撥弦の瞬間のかすかな反発の感覚のあと、素早く跳躍してゆくような魅力的な身振りを備えたものですが(田邊雅啓氏はこれを「コケティッシュな発音」と表現してします)、この最もロマニリョス的な音響特性をしっかりと掴みつつ(これをより活かすためナットとサドルは象牙材を使用)、表情には弾き手の心の動きにシンクロするような豊かな奥行きとダイナミックな変化があります。透徹とロマンティシズムが同居した音響はまさしくロマニリョスで、製作家の現在の到達点の高さを示す、充実したオマージュモデルとなっています。
内部構造はオリジナルの構造に正確に準拠。サウンドホール上(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本で計3本のハーモニックバーを設置、それらすべてのバーの高音側と低音側とに1か所ずつ4センチほどの開口部が設けられ、それらの開口部を垂直に交わるように(つまり表面板木目と同方向に)通過する形で高音側2本、低音側2本の力木がボディの肩部分からくびれ部分まで伸びるように平行に設置されています。そしてボディ下部(くびれより下の部分)は、左右対称7本の扇状力木に、センターの1本以外の6本の先端をボトム部で受け止めるちょうどハの字型に設置された2本のクロージングバー、ブリッジ位置には駒板と同じ大きさの薄いプレート板が貼られているという全体の構造。表面板と横板の接合部には大小のペオネス(三角形型の木製のブロック)を交互にきれいに設置してあります。これらの配置的特徴はホセ・ルイス・ロマニリョス著「Making a Spanish Guitar」の中ではPlan1として掲載されているものと同じもので、トーレス=ハウザー的スタイルをロマニリョスが再構築したものとしてスタンダード化している設計の一つ。重量は1.51㎏。レゾナンスはFの少し上と低めの設定になっています。
本作ではドイツの名工ヘルマン・ハウザー工房ストックから極めてハイグレードな松材をセレクトして使用したプレミアムスペックになります。糸巻はSloane 製 のLeaf 柄を装着。ネックはノーマルな厚みのDシェイプでスタンダードな仕様。弦高は出荷時で1弦2.9mm/6弦4.0mmに設定されており、サドルには1.5~2.0mmほどの調整余地があるのでお好みに応じて設定値を変更いただけます。弦の張りは中庸です。ブリッジ弦穴はトリプルホール仕様(通常の巻き方でも使用できます)。