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アンドレア・タッキ Andrea Tacchi



SOLD OUT
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:アレッシ(オリジナルモデル)
弦 高:1弦 3.11mm/6弦 4.1mm


[製作家情報] 
1956年イタリア、フィレンツェに生まれる。現代イタリアを代表する製作家。
この歴史ある街で多種多様な職人達の優れた仕事と作品とに間近に接しながら過ごした彼は、幼い頃より想像力が豊かで工作技術に長けていました。15歳には最初のギターを製作し、その後アルゼンチン人の製作家 Ricardo Brané との出会いがきっかけで、大学で機械工学を学ぶかたわら、本格的にギター製作を自らの生業とすることを決意。しかし程なくしてBrané が若くしてこの世を去り、師を失った彼は自ら探求を始めます。そしてまず彼の敬愛する同時代の製作家達を、スペイン、フランス、イギリスそしてアメリカにまで及んで訪れ、ホセ・ロマニリョス、フレタ、ラミレスⅢ世といったまさに第一線のルシアー達より製作に就いての貴重なアドバイスを受け、議論し、見識を深めてゆきます。特にフランスの伝説的な名工ロベール・ブーシェ(1896~1986)とダニエル・フレドリッシュ(1932~2021)の二人からは製作の実用的な助言だけでなく、ギター製作に適した工具や治具の作り方、そして楽器作りにおいていかにインスピレーションとイマジネーションがその芸術性に寄与していくかを学び、その美学は現在も彼の重要な基礎となっています。

1985年にはフランスのカストレで開催された’Concours International des Facteurs de Guitare’において「芸術性」で1位、「音響」で2位を獲得し、これをきっかけにイタリアの新しい世代を担う製作家として世に認められるようになります。1989年には彼のオリジナルとして最重要モデルとなる “Coclea”を発表。極めて緻密な幾何学的、数学的なアプローチと伝統的な工法、そして彼の音楽芸術への深い造詣と嗜好が融合したものとしてイタリアのみならず現代のギターの中でも非常に特殊な位置づけがされているモデルとなっています。さらに飽くなき探求を続ける彼はその後アントニオ・デ・トーレス(1817~1892)の最晩年のギターにおける工法上の秘密をやはり科学的なアプローチを経て突きとめ、その研究をもとにまたしても非常に個性的なモデル“Thucea”を作り上げます。表面板の中央にヨーロピアンスプルース、その両外側にウェスタンレッドシダーという比重の異なる木材を合わせた4ピース仕様は響板としての振動効率を最大限に上げ、発音と遠達性の両方で未聞の成果を上げたものとなりました。また彼のもう一つの重要なラインナップとして、敬愛する偉大な先人達へのOmaggio(オマージュ)シリーズがあり、エンリケ・ガルシア、フランシスコ・シンプリシオそしてロベール・ブーシェのモデルが発表されており、そのレプリカとしての枠を超えた極めて高い完成度ゆえ、ギターファンからは垂涎のマストアイテムとなっています。

彼のギターは、それがスペインやフランスのギターへのオマージュである場合においても、独特な位相による遠近感の際立った発音と、聴く人を安心させる温かみのある音色、奥行きがありながらもしっかりと引き締まった音響などが特徴で、弾き手のインスピレーションを誘発する魅力が溢れたものになっています。そして隅々まで愛情がゆきわたった精緻な造作と意匠のセンス、そのトータルな外観としての気品はやはり比類なく、現代の最上のギターブランドの一つと言えるでしょう。

現在も旺盛に製作を続け、イタリアを中心にベテランから若手まで世界中のプロフェッショナルギタリストに彼のギターはに愛用されています。


[楽器情報] 
アンドレア・タッキ 2021年製作 「オマージュ」シリーズ最新作、限定モデルです。
ラベルには“Omaggio alla scuola Spagnol”と記されており、これは彼が心から敬愛してやまないトーレス、ヴィセンテ・アリアス、エンリケ・ガルシア、フランシスコ・シンプリシオ、マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、モデスト・ボレゲーロ、ホセ・ラミレス等々、スペインの名工たちへの文字通りのオマージュであり、それらの偉大な名前の最後に自らを置く彼の深い矜持と覚悟、そして彼の音楽とギターへの愛情そのものの表明として作られたモデルであることを示しています。表面板は彼の“Thucea”モデルを想起させる4ピース仕様で裏板はシープレスの3ピース仕様。美しいプロポーションを持ったやや小ぶりなボディはアリアスのギターを参考にしたとのこと。糸巻はタッキ氏自身の監修によるAllesiの特注モデルで古雅な様式を追求しており、特徴的なロゼッタは伝統的なエジプト文様とトーレスの意匠から想を得たもの、そして目を奪われるようなセラックの深みのある艶やかな仕上げにより、全体に比類のない気品を漂わせています。

内部構造はサウンドホール上側に2本、下側にスキャロップド加工された1本のハーモニックバー、そしてその下に5本のそれぞれ高さの異なる扇状力木が左右対称に配され、ボトム部にはクロージングバーは無く、駒の真下の位置には薄いプレートが貼られています。その薄いプレートに直角に交わるように、別の10㎝にも満たない小さな一本の力木が、5本の扇状力木の中央の一本のすぐ横に配置されています。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

音響は彼ならではの非常に密度の濃い艶やかな音色が、純粋なスペインギターとはまた違った趣をもって深い奥行きで鳴り、その表情は温かく何ともロマンティック。シープレス材を使用したことにより木質感が絶妙に加味されており、それがクラシカルな雰囲気に寄与しています。発音のレスポンスにもやはりこのブランド独特の膨らみ方があり、音量はとても豊か。弦の張りは中庸で、ネックはやや薄めのDシェイプで加工されており、握りはコンパクトで撥弦が楽な印象があります。

ラベルにはもう一つ、“IL Morino”と直筆で書かれており、これはタッキ氏自身の幼少の頃のニックネームであったそう。ギター製作に憧れる自らの心の中の少年を刻印したこのモデルは、実は彼自身のプライベート用として1本だけ製作されたもの。数年前に日本を訪れた時の感動と感謝から、今回タッキ氏よりオファーを頂き、ご本人の日本への深い愛情のしるしとして、この貴重な一本を当店でご紹介できる運びとなりました。

HISCOX ハードケース、ブランドオリジナルクロス、ブランドオリジナルアームカバー付属。




〔商品情報〕
楽器名アンドレア・タッキ Andrea Tacchi
カテゴリ輸入クラシック 新作
品番/モデルOmaggio alla scuola Spanola #419
弦 長650mm
イタリア Italy
製作年2021年
表 板松単板 Spruce
裏 板シープレス単板 Cypress
程 度※10
定 価2,750,000 円
販売価格(税込)2,612,500 円
付属品ハードケース付属


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