ギターショップアウラ ギターカタログサイト

セバスチャン・ステンツェル Sebastian Stenzel



New Arrival SOLD OUT
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.7mm

[製作家情報]
セバスティアン・ステンツェル Sebastian Stenzel 1966年ドイツ、ゲッティンゲンに生まれる。父親は文学の教授(父親が愛聴していたジュリアン・ブリームのレコード演奏が自身の原点だとセバスチャンは語っています)ですが、高校を卒業するまでは物理学を専門に学ぶ青年でした。しかし同時に幼いころから木工を得意とし、そしてギターに惹かれ、なんと13歳の時に最初のギターを作ったという彼は自然に物理学への進路を離れ、製作家を志すことになります。1989年から1991年まで地元のギター職人Gert Esmyol のもとで修行し、その後も自身の製作哲学を醸成しながら製作と改善を続けてゆきます。1996年にドイツのマイスター試験に合格した後ミュンヘンに自身の工房を設立。もともと卓越した木工技術と楽器製作におけるセンスの良さを持ち合わせていた彼のここからの活躍は目覚ましく、1998年にバイエルン州政府賞を受賞。教育の分野においてもザルツブルグのモーツァルティウム大学、このモーツァルトの名を冠した音楽と舞台芸術の歴史ある総合大学にて、2002年からギター製作についての教鞭をとっています。2004年に同国のゼルデンに、2011年にはエメンディンゲンに工房を移設し現在に至ります。また彼は自身の報酬の一部を熱帯雨林の保護と再生に取り組んでいる団体に寄付し、その活動を積極的に支えていることは、彼をはじめとして主にヨーロッパの楽器職人の環境保護と製作という未来に向けての円満なサイクルを形成するための同時代的な意識の高まりを顕著に示す一例として特記すべきでしょう。

彼の楽器は、常にその目指す理想としての’Sonorous’なギターという一語に集約されますが、非常な探求心によって工学的、音響学的そして歴史学的な多彩なアプローチが試みられてきており、またそれぞれの地点において非常な完成度の高さを有していることが特筆されます。そしてそのような彼の製作の変遷において、常にその基礎となったのはスペインの伝統的なギターであることもまた彼のギターの特性を端的に表していると言えます(しかも驚くべきことにトーレスよりもさらに前のFrancisco Sanguino のギターにまでその構造原理の源をたどることができるというもの)。さらにはそこにドイツ的な音響嗜好と数学的な緻密さが実によい案配に付加されており、モダンギターの潮流とは一線を画す、現代の名品としての評価を確立しています。

[楽器情報]
セバスティアン・ステンツェル1993年製 Usedの入荷です。彼が修行時代を経て間もないころの作ですが、その製作技術と音響の完成度において既に名品と言ってもよいレベルにまで達しており、誠に瞠目すべき一本となっています。表面板の内部構造は伝統的なスタイルで、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、ネック脚と上側ハーモニックバーの間に一枚の補強板、下側のハーモニックバーは低音側から高音側に向かってほんのわずかに斜めにボトム方向に下がってゆくように設置されています。ボディ下部は左右対称5本の扇状力木にそれらの先端を(センターの一本を除いて)受けとめるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されているという全体の構造。扇状力木はほぼ駒板の幅の中に納まるように中央に寄せて、平行に近い角度で設置されています。レゾナンスはFとF#の間という低めの設定で、ボディ重量も1.47㎏と軽めの造りになっています。

ドイツらしい、低音から高音までを一つの線で繋いでゆくような均整なバランス感で、各音は硬質な基音に真綿のような肌理を纏わせた音像。その整った音像が瞬間的な速さで現前するような発音で、その密度を維持したまま終止する、その終止における身振りにもあいまいさがなく、音楽的な意味での持続性(単に音が伸びるという意味でのサスティーンとは異なり)を備えています。表情は優しくそして凛としており、やや翳を含んだ響きがなんとも魅力的。その繊細な変化の中に音楽的な機微があり、この辺りは実にクラシカルな、敢えて言えば印象派的な響きの感覚があります。和声的な機能も優れており、和音におけるまとまりと内声のアイデンティティが両立しており、これは対位法的な楽曲においても十全に機能しています。これら音楽的な反応性という意味でのタッチに対するリニアニティが秀逸で、奏者は細やかさからダイナミックな振幅までを十全に表現することができます。

外観においてもその佇まいはどちらかと言えば地味ですが、ロゼッタの個性的なデザインとその精緻さ、赤茶、濃茶、ベージュを基調としたパーフリング等の意匠は慎ましくも様式美を打ち出しており、全体のしかりとしたアクセントになっています。

(コンディションについて)
表面板のサウンドホール周りや指板両脇などに細かな弾きキズありますが微細なものなのであまり目立ちません。駒板下1弦部分に弦とびあとがあります。横裏板は衣服等による軽微な摩擦あとのみの綺麗な状態です。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。ネック、フレットともに良好な状態を維持しており、ネックは薄めのCラウンドシェイプで左手のコンパクトなグリップ感が追及されています。ネックとヘッド部はVジョイント接合。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)の弾きやすい設定になっています、サドル余剰が1.0~1.5mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。


〔商品情報〕
楽器名セバスチャン・ステンツェル Sebastian Stenzel
カテゴリ輸入クラシック 中古
品番/モデル
弦 長650mm
ドイツ Germany
製作年1993年
表 板松単板 Spruce
裏 板インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
程 度※7
定 価時価
販売価格(税込)お問い合わせ下さい。
付属品ハードケース


下の写真をクリックすると拡大して表示します