カセレスのギターはオリジナルのラベルとデザインによるものと、アルカンヘル工房品として「Para casa Arcangel Fernandez」のラベルを貼って出荷されているものとがあり、後者は基本的にアルカンヘルの監修による仕様に準拠していますが、オリジナルラベルによるモデルは内部構造からヘッドシェイプ、細部の仕様からラベルデザインに至るまでいくつかのタイプがあり、音色の傾向もそれぞれ異なり、個性的なものになっています。
[楽器情報] マヌエル・カセレス 2013年製作のNo.103 中古良品の入荷です。ラベルには<Colaborador de Arcangel Fernandez>とプリントされており、アウラオリジナルモデルとして製作された「アルカンヘル・フェルナンデス」モデル3作目となります。この製作家の文字通り円熟期の作として、2000年代以降のマドリッド派の最良の形を体現しているともいえる見事なギター。
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.7mm
〔製作家情報〕
1947年スペイン、バダホス生まれ。1963年にホセ・ラミレス3世の工房に入り、当時の職工長であったパウリーノ・ベルナベのもと研鑽を積みながら、やがて「MC」のスタンプで同ブランドの最上位機種である1Aの製作を任されるようになり、当時の人気スタンプとなります(現在も中古市場では当時のMCスタンプのラミレスは人気のアイテムとなっています)。1978年にラミレス工房を出た後に独立。また同時期より同じマドリッドの名工アルカンヘル・フェルナンデスとの共同作業的な親交が始まります。これがカセレスのギター製作に大きな影響を与えることになり、アルカンヘルが2011年に引退した後、その唯一直系の製作家として、また最もマドリッドらしい作風を継承した製作家として人気を博していましたが、2018年に工房を閉鎖し一旦引退。現在はわずかに受注での製作のみとなっており、新作が極めて貴重なブランドとなっています。
カセレスのギターはオリジナルのラベルとデザインによるものと、アルカンヘル工房品として「Para casa Arcangel Fernandez」のラベルを貼って出荷されているものとがあり、後者は基本的にアルカンヘルの監修による仕様に準拠していますが、オリジナルラベルによるモデルは内部構造からヘッドシェイプ、細部の仕様からラベルデザインに至るまでいくつかのタイプがあり、音色の傾向もそれぞれ異なり、個性的なものになっています。
[楽器情報]
マヌエル・カセレス 2013年製作のNo.103 中古良品の入荷です。ラベルには<Colaborador de Arcangel Fernandez>とプリントされており、アウラオリジナルモデルとして製作された「アルカンヘル・フェルナンデス」モデル3作目となります。この製作家の文字通り円熟期の作として、2000年代以降のマドリッド派の最良の形を体現しているともいえる見事なギター。
全体の完成度は非常に高く、洗練と同時に深い味わいがあり、明朗かつ重厚、適度な張りと艶のある音色でバランスや分離も優れており、まさに彼のフラッグシップモデルと呼ぶに相応しい作品となっています。そしてアルカンヘル的なニュアンスももちろん、極めて高度なレベルで備わっている1本です。
内部構造は合計6本の扇状力木が、表面板のセンターに配された1本を境に低音側に2本、高音側に3本、そしてこの6本の先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の真下位置にはほぼ表面板横幅一杯に渡ってやや厚みをもったプレート貼られており、それぞれの力木の形状、大きさまでほぼ忠実にアルカンヘルのオリジナルを踏襲。レゾナンスはG~G#に設定されています。
ボディ材には厳選した最高級材を使用。特に横裏板は柾目に近い美しい中南米産ローズウッドが使われており、表面板含め厚すぎず加工されたボディは軽めで、そのため発音はストレスなく心地よく反応します。赤、茶、黒を基調とした口輪は明るい表面板に良く映えて、ヘッドシェイプはもちろんバルベロ~アルカンヘルの特徴的なデザインで外観全体を引き締めています。ネック形状は薄めのDシェイプで、ネックのボディに対する差し込み角度も深すぎず、演奏時の左手は素直なフィット感があります。糸巻きはフステーロのラミレスタイプを装着。
傷はほんの少し有りますが割れ等の修理履歴はなく、全面セラックニス仕上げの楽器としては製作年代考慮するととても綺麗な状態と言えます。ネック、フレット、糸巻き等演奏性に関わる部分も問題ございません。表面板ボディ内側の、19フレット以降の指板の真下にあたる部分には意図的に2本のスプリットが入れてあり、指板付近の表面板の歪みを防止する効果が得られています(これもアルカンヘルの特徴的な細工を踏襲したもの)。